セブン&アイ・ホールディングス傘下で売却が予定される百貨店、そごう・西武の労働組合は25日、組合員投票の結果、賛成多数でストライキ権が確立したと発表した。これにより、組合はいつでもストを実行できる状態になった。今後はスト権を盾に、売却計画の詳しい説明や雇用の維持を会社側に求める方針。ストが実施されれば、百貨店としては異例の事態となる。
組合によると、投票総数は組合員の約9割に当たる3833票で、賛成率は93.9%だった。寺岡泰博委員長は東京都内で記者会見し、「すぐにストをするのではなく、まずは交渉力を上げる」と述べ、セブン&アイやそごう・西武に近く協議の場を求める考えを示した。
ストの対象店舗については「池袋(本店)だけか全店か、規模について今決めていることはない。この権利が最大限発揮できるのはどこか慎重に判断したい」と述べ、状況に応じて決断する考えを強調。ストの期間に関しては「少なくとも1、2日ではなく、ある一定期間の対応ができる(休業補償の)積み立てはある」と述べた。
セブン&アイの広報は「これまで以上に丁寧な対話を進め、可能な限り早期の合意形成を目指す」とのコメントを出した。
セブン&アイは昨年11月、米投資ファンドにそごう・西武を売却すると発表。しかし、西武池袋本店のある東京都豊島区などとの調整が難航し、売却時期を2度延期した。今月21日にはセブン&アイが豊島区を含む関係者への説明会を開いている。
産業別労働組合UAゼンセンによると、百貨店の大規模なストは1957年の岩田屋(現岩田屋三越、福岡市)争議以来、行われていない。