上半期の貿易赤字6.9兆円=資源価格下落で縮小、先行き不透明
財務省が20日発表した2023年上半期(1~6月)の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6兆9604億円の赤字だった。昨年と比べ資源価格が下落したことや自動車輸出の増加で、赤字幅は上半期ベースで過去最大となった前年同期から縮小した。ただ、世界経済の減速懸念もあり、収支の改善基調が継続するかどうかは不透明だ。
輸入額は前年同期比0.7%増の54兆3143億円。ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源高が一服し、原油は8.9%減となった。
輸出は伸び率では輸入を上回る3.1%増の47兆3539億円。半導体をはじめとする部品供給が回復したことで、欧米向けを中心に自動車の輸出が好調だった。
同時に発表された6月単月の収支は430億円の黒字。黒字は21年7月以来23カ月ぶり。
しかし、黒字基調が定着していくかは不明確だ。自動車の輸出はコロナ禍前の水準にほぼ戻っており、輸出をけん引し続けるか予断を許さない。また、欧米の金融引き締めなどによる世界経済の減速が、輸出全体への下押し圧力になるとの指摘も出ている。
みずほ証券の土屋諒太郎エコノミストは「赤字幅は着実な縮小傾向にあるが、その縮小ペースは鈍化する可能性がある」と話している。