客の「心理」最優先=接客業、マスク対応苦慮

時事通信社
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三越銀座店前のマスクをしたライオン像
〔写真説明〕三越銀座店前のマスクをしたライオン像=27日午後、東京都中央区(時事通信社)

 新型コロナウイルス感染対策としてのマスク着用が任意となることを受け、小売りなどの接客業や公共交通機関が頭を悩ませている。従業員のマスク着用や客への着用要請はどうするべきか。「心理面を最優先」(大手コンビニ)で、客の反応と世間の雰囲気をうかがいながらの対応になりそうだ。

 「今後どう対応しますか」。政府の方針変更を受け、都内のある大手ホテルは早速、他のホテルから問い合わせを受けた。現在は業界のガイドラインに沿って従業員はマスクを着用。客にも要請している。担当者は、「先んじてマスクを外せば『もう外すのか』とたたかれ、外さなければ『外せ』と言われる」として、ガイドラインの変更を待ち、横並びで対応する構えだ。

 百貨店業界では、「マスクを外すのは接客の仕事が最後」(大手幹部)と、客が外さない限り着用して接客するとの意見が多い。証券業界でも、「高齢のお客さまも多い」(大手)と、基本的には着用を続ける見通しだ。三越銀座店(東京都中央区)前のライオン像も、当面マスクを着けたままにするという。

 鉄道業界では昨年12月の同業界のガイドライン変更時に、マスク着用要請について車内放送で呼び掛ける部分の記載は削除した。しかし、「車掌がマスクをしている客としていない客との板挟みになる」(JR関係者)として、一部は今なお継続。国がマスク着用を不要にしても、着用要請が一斉になくなるかは不透明だ。

 一方、マスク着用を拒む客とのトラブルが相次ぐ航空業界は、「着用が任意になれば(注意する必要がなくなり)トラブルが減る」(航空会社関係者)と歓迎ムード。「満員電車のようなすし詰めにはならず、空気も入れ替わる構造の安全な乗り物だ」(別の関係者)と集客に意欲を示している。

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