「グリーンビーンズ」1年で会員数21万人突破 配送エリアさらに拡大へ
鮮度訴求で新サービスも
2年目を迎えるにあたり、グリーンビーンズは強みとする鮮度を訴求した商品をさらに強化する。鮮度+は畜産物や冷蔵商品など取り扱い商品を増やし、今夏の発売をめざす。これまでは野菜のみだったが、新たに肉を扱う。鮮度+以外でも、生サーモンのチルドパックやチルドのミールキットなど、鮮度を保ちながら消費期限も長く伸ばせるような研究を進めているところだ。
7月からは、果物の食べごろ期間を商品に印字して保証する「食べごろ+」を開始した。対象はキウイやアボカド、メロンの3品目。専用の機械や専門スタッフが、果物の特性に合わせて食べごろをチェックする施策で、業界内では初めての試みだという。
さらに、冷凍商品の鮮度改革も進める。プロトン凍結の技術を取り入れた冷凍の握り寿司や、冷凍した鮭へCAS凍結技術を導入するなど特殊冷凍技術をすでに取り入れた。太田副社長は「ネットスーパーではなくネット専用スーパー。ネット専用だからできる革新だ」と力を込める。
配送エリア拡大へ物流拠点強化
会員数の増加も追い風に、配送エリアの拡大も続ける。グリーンビーンズの運営形態は、CFCを物流拠点とするいわゆるセンター出荷型。配送網は、現在は「誉田CFC」(千葉県)をハブ(中心拠点)としてスポーク(中継拠点)を配置する 「ハブアンドスポーク」方式で構築されている。
今後は、東京都内の板橋区、豊洲などのエリアや、千葉県の柏・流山エリア、神奈川県の横浜エリアでもサービスの提供を開始する。26年度に「八王子CFC」(東京都)、27年度には「久喜宮代CFC」(埼玉県)を建設予定だ。中でも久喜宮代CFCは最先端技術を導入し、既存のCFCより2倍の供給力を備える。スポークも順次増やしていく。
CFCへの最先端技術の導入もさらに強化する方針だ。グリーンビーンズが特徴とする鮮度を訴求した商品展開は、協業する英国のネットスーパー最大手「Ocado Group(オカドグループ)」のテクノロジーを活用したコールドチェーンによって成り立っている。常温、冷蔵、冷凍の3つの温度帯で管理することで、収穫からお客に届くまで一定の温度を維持し、温度変化の差による劣化を防いできた。さらに倉庫内でのピッキング作業をロボットで自動化するなど生産性を高める取り組みも行う。
大型の事業投資が続くグリーンビーンズ。業界内ではネットスーパーの事業黒字化は難しいとされてきたが、野澤副社長は「十分に黒字化できる」と自信をのぞかせる。その理由について、主な配送エリアとする都心部を中心に共働き世代が増えており、平日に買い物に行く時間を確保しづらくなっている傾向があることから「需要は伸びていく」と説明。そのうえで「粗利が低い食料品だけを売っていては収益化は難しい」と語り、非食品の取り扱い拡大や、買い物以外のサービスを充実させていく考えを示した。