ネットスーパー&宅配……加速する食のECシフト 成功の鍵は「配送」にあり!
「食のECシフト」はこの先も続くのか
今後も「食のECシフト」はすすんでいくのだろうか。
本特集では、多くの業界関係者を取材し、この質問をぶつけてみた。だが、返ってきた答えは分かれた。
ローランド・ベルガーのパートナー、福田稔氏は、多少の落ち着きはあるかもしれないが、と前置きしたうえで、「食のEC利用の高まりは一時的なものでは終わらないだろう」と話す。コロナ禍によって多くの消費者がネットスーパーを新規に利用してその利便性に気づき、今後も継続利用するだろうと福田氏は予想する。
三重県地盤のローカルスーパー、スーパーサンシ(田中勇社長)常務取締役の高倉照和氏は、「お客さまは、ほかの買物手段がないため、“しかたなく”SMのリアル店舗へ足を運んでいる」とまで言い切る。消費者はあくまで日々の食卓に出す食材を買い求めるためにリアル店舗に来ているのであって、スマートフォン注文をはじめとした、より便利で信頼できる買物手段があれば、そちらを利用すると高倉氏は主張する。極論に聞こえるかもしれないが、スーパーサンシのある店舗では、日によっては日商の約4割をネットスーパーが稼ぐという事実を踏まえると、その論も信憑性を帯びてくる。
その一方で、食のECシフト加速に対して懐疑的な見方もある。
ニールセン・カンパニーの流通サービス事業部長を務める桂幸一郎氏は、「コロナ禍はあくまで特殊な状況であり、少なくないお客が以前のような(リアル店舗中心の)買物行動に戻るのではないか」と指摘する。足元で起きているネットスーパーの利用拡大は、これまでECの利用を阻害してきた理由が解消されたことによるものではなく、コロナ収束後に“揺り戻し”がやってくる可能性があるというのだ。
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