イトーヨーカドー&オニゴー、ネットスーパー“継続”のための要諦とは?
採算の取れる客単価、最低ラインは5000円か?
オニゴーの梅下直也代表は、客単価を上げるには店舗の取り扱い品目が多い必要があると言います。24年に提携を解消した都市型スーパーの場合、ネックになったのは店舗で扱う品目数の少なさだったそうです。イトーヨーカ堂との事業では、8000~9000品を扱います。より日常的に使ってもらうため、主要2000品は店頭価格にできるだけ近づけるそうです。
では一体、どれだけの客単価があればいいのか? サービス設計を見ると、購入金額5000円(税込)未満の場合には少額手数料490円(税込)を加算するとなっているので、つまりはそれくらいは必要というわけでしょう。
5000円前後のラインに特別な意味を持たせるネットスーパーは少なくありません。ヤオコーは本体価格の合計が5000円を超えると送料が半額の110円(税込)になります。西友は5500円(税込)以上で送料無料です。グリーンビーンズは最低購入金額を4000円(税抜)と設定とするなど、多くのサービスで客単価を5000円程度に誘導する仕掛けが見られます。さらにオーケーは最低購入金額を1万円(税抜)と設定しており、他のチェーンでも、できれば1万円近くに引き上げたいのだろうと思わせるインセンティブを目にします。
5000円の購入にはそれなりの買上点数が必要
客単価を5000円以上に持っていきたい店側の都合はわかりますが、利用客が食品スーパーで5000円の買い物をするには、それなりの点数を購入しなければなりません。まして1万円レベルに高めるとしたら、相当なまとめ買いになります。梅下代表が品目数の必要性を言われる理由は、ここにあるように思います。
わが家ではミネラルウォーターを“数十キロ”単位で買うときに、ネットスーパーを利用します。生鮮や総菜は自分で選びたいので、ネットではほとんど買いません。水のほかには米、あとはペーパー類。そういったものを大量に購入しない限り、ネットスーパーで1万円近い単価にはなりません。運ぶ方は大変だろうと思いつつ、購入する方も選ぶのが大変です。
自らの購入内容を考えるに、客単価は高いけれども頻度はそう高くありません。スーパーの場合、客単価と購入頻度は往々にしてトレードオフの関係になるようにも思います。これを解消するには、何を売るかの商品戦略が重要でしょう。しかしながら店舗出荷型の場合、取り扱い品目は店内在庫の範囲内という制約もあります。改めて、難易度の高いビジネスだと思います。