コスト重視からSDGsへ大転換 ファストファッションブランドによるサステナブル化の実情
ユーザーの関心がどこに向かうのかを見極めることが重要
ここまで各ブランドの取り組みを課題とともに紹介してきましたが、「すべて知っている話だった」という人は少数だと思います。換言すれば、こうしたファストファッションブランドのサステナブルを追求する動きは、日本でニュースになることが少ないということでしょう。
一方、欧米ではサステナブルな取り組みはメディアでしっかり報道されますし、一般消費者の「自分(のライフスタイル)を変えよう」という意識の変化も早い。そうしたなかで、たとえばH&Mは日本では昔と変わらずファストファッションブランドと認知されていますが、ヨーロッパでは姿勢を大きく変化させた企業として一目置かれています。消費者意識においても、メディアの報道姿勢においても、日本は世界から大きな後れを取っていると言わざるを得ません。
バングラデシュの事故を機に、H&MやZARAはおよそ5年をかけて姿勢を変えましたが、その波に乗れなかったForever21は昨年倒産しました。淘汰された要因はさまざまありますが、ファストファッションというビジネスモデルに対して問題が提起されたときに、ユーザーの意識の変化を洞察して行動に起こさなかったことも衰退に至った理由の1つでしょう。
消費がますますコンシューマー(消費者)主導になるなか、企業が「ユーザードリブン」へと変わらないことには、たとえ一世を風靡したブランドであってもいずれ立ち往かなくなる。向かう先を正しく見極めることが、これからの時代、最も大事なことになるのでしょう。