強力な集客力だけじゃない!GUがライブコマースと相性がよい訳
2020年に発生した新型コロナウイルス感染拡大によって小売を取り巻く環境は大きく変化した。店舗への足が遠のいた消費者に対し、どのように商品への関心を維持してもらうのか、購買してもらうのか…。簡単でないテーマに試行錯誤が続く。そうした中、とくにアパレル業界で活用が急拡大しているのが、ライブコマースだ。20年末からスタートし、早くも成果を上げているGU(企業名:ジーユー/柚木治社長)の取り組みを通じて、ライブコマースの可能性について考えていきたい。
日本でもようやく広がり始めたライブコマース
あるアパレルブランドの店舗。人気インフルエンサーが出演し、スタイリストがテーマ別にコーディネイトを提案。提案コーデに身を包んでスタッフが登場すると、2人がそれぞれ解説し、時にインフルエンサー自身も提案コーデに衣替えする――。
上記はジーユーのライブコマース、『GU LIVE STATION』のワンシーンだ。画面から伝わる雰囲気は、従来からあるテレビショッピングそのもの。違いは、ネット配信であり、コメントが可能で、そのまま購買できる双方向型であることだ。
ライブコマース自体は決して新しい販売手法ではない。中国で記録的な売り上げをあげるなど、3年ほど前にはネットショッピングの次の形として注目度が高まることもあった。取り組む上での技術的な環境も、かなり以前から整っていた。
ところが日本では、導入の動きは鈍く、大きく注目されることはなかった。風向きが変わったのは、新型コロナウイルス感染拡大だ。来店が困難という小売にとってかつてない非常事態に各社が代替策を模索。そうした中で浮上した販売スタイルのひとつがライブコマースだった。
理由は大きく3つある。ひとつはライブ配信で来店と遜色ない臨場感の中で商品紹介ができること。2つ目は双方向で顧客とダイレクトに接点が持てること。3つ目は自社配信型を活用することで、思い通りのブランディングができることだ。