ユーロ圏インフレ率、5月は前年比+2.0% ECB目標を超過

ロイター
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ウィーンのマーケットで買い物をする人
EU統計局が発表した5月のユーロ圏消費者物価指数速報値は前年比2.0%上昇となり、前月(前年比1.6%上昇)から伸びが加速した。写真はウィーンで昨年4月撮影(2021年 ロイター/Leonhard Foeger)

[フランクフルト 1日 ロイター] – 欧州連合(EU)統計局が発表した5月のユーロ圏消費者物価指数速報値は前年比2.0%上昇となり、前月(前年比1.6%上昇)から伸びが加速した。エネルギーコストの上昇が背景。「2%を下回るがこれに近い水準」とする欧州中央銀行(ECB)の物価目標を超過した。

市場予想の1.9%上昇も上回り、一過性の要因だけでなく、構造的な要因が急上昇の背景にあるのではないかとの見方が強まっている。

INGのエコノミスト、バート・コリン氏は「誰もが予想していたことだが、それでも多くの人が焦り始めている」と指摘。「経済に関するニュースがますます明るくなり、労働市場が経済再開で活況を呈する中、インフレ率は急速に反転上昇している」と述べた。

5月がインフレ率上昇のピークになるとは考えにくい。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による景気二番底からの回復と最近の商品価格の上昇が物価押し上げ圧力となり、年後半にはインフレ率が2.5%に近づく可能性がある。

現時点では物価目標達成を喜ぶ当局者も、消費者からの反発に直面する可能性があり、今後のコミュニケーション上の課題が増えることになる。

ただ、当局者の中で最も保守的な向きも、インフレの急上昇は一時的なものだと主張している。特に、持続的なインフレ上昇に必要な賃金の伸びが依然として弱いことから、来年早々には物価上昇の原動力は消失するとみられる。また原油価格の上昇が基礎的なトレンドの弱さを覆い隠しているほか、中央銀行がより着目するサービスおよび耐久財のインフレ率はインフレ率は依然として弱い。

実際、変動の激しい食料品やエネルギーを除いくコアインフレの上昇率は、4月の0.8%上昇から5月は0.9%上昇と、上昇ペースの加速はわずかなものにとどまっている。エネルギーと食品に加えてアルコールとたばこも除外したインフレ率は0.9%上昇となった。4月は0.7%だった。

これとは別に発表された4月のユーロ圏失業率は8.0%となり、3月の8.1%から改善した。市場予想は8.1%だった。ただ、新型コロナ危機前の水準は依然として上回っている上、政府補助金によって低位に抑えられている可能性が高い。

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