巣ごもり需要で好調に推移する冷凍麺市場、市販が業務用を上回る逆転現象も
簡便性の高さから近年は微増傾向が続いている冷凍麺のマーケット。コロナ禍の影響を受けて内食需要が高まる中、業務用と市販用の生産量が逆転するなど、今までにない動きが出てきている。

緊急事態宣言中は前年比20%以上の増加
KSP-POSデータによると、2020年2月から21年1月の冷凍麺カテゴリーの期間通算金額PIは前年同期比16.8%増の8263円、数量PIは同12.0%増の42.47と、金額・数量ともに大幅増となった。
冷凍麺の月別の売上の傾向を見ると、例年は鍋料理の食卓出現率が高まり、冷凍うどんの出番が多くなる秋冬に需要が高まるが、今期は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、消費者の購買行動も激変。とくに緊急事態宣言中の20年3月から5月は前年同月比で20%以上の大幅な増加となっている。宣言解除後も20年11月を除きすべての月で2ケタ増が続いており、好調の様子が見て取れる。
日本冷凍めん協会の調査によると、冷凍麺の生産量は微増傾向にあり、協会員企業の19年の業務用・市販用を合わせた生産量は前年比2.1%増の18億5223万食となった。冷凍麺は市販品のほか、飲食店や総菜、給食など、幅広いシーンで利用されており、業務用と市販用の生産量の割合は、例年6対4程度で業務用が上回っている。

しかし、20年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴う飲食店の営業自粛もあったことから業務用が大きく落ち込み、1月から3月の時点で5対5、4月から6月では4対6で市販用が上回るなど、今までにない現象が起きている。
カテゴリー別でみると生産数量の多い「うどん」は前年比29.8%増、「パスタ」は10.8%増、「ラーメン」は40.3%増、市販用冷凍麺全体でも29.0%増となっており、外食を避け家で食事をする機会が増えたことで、消費者が市販用の冷凍麺を手に取る機会も増えたと推察される。
電子レンジで簡便調理ストックにも最適な冷凍麺
冷凍麺は、ゆでたてのおいしい状態で急速冷凍しているため、ゆで加減の失敗が少なく、電子レンジでの解凍・調理も可能な簡便性の高さが特徴だ。とくに日本冷凍めん協会が認定している「RMK認定冷凍めん」は、急速冷凍することにより、細菌の繁殖を抑える保存料を一切使用しておらず、小さな子供のいる家庭でも安心して食卓に出すことができる。
うどんを中心に市場を広げてきた同カテゴリーだが、近年とくに好調なのがパスタだ。食べる前に解凍するだけなので乾麺のパスタに比べゆでる手間がかからない点、急速冷凍するため保存料不使用で安全・安心である点、長期保存が可能な点などが評価されており、コロナ禍を機に手に取る消費者も増えている。
日本冷凍めん協会のホームページではうどん、パスタ、そば、ラーメンなど、さまざまな冷凍麺を使った手軽に楽しめるレシピを多数紹介。また、マイナビウーマンやナディアといった料理関連サイトとのタイアップにより、冷凍麺ならではの簡便性やおいしさを訴求している。
コロナ禍により、消費者のライフスタイルは大きく変わった。学校の休校やテレワークの推進など自宅で過ごす時間が増え、外で食事をする機会が減っている。
簡便性が高く日持ちのすることからストックとしても便利な冷凍麺は、新しい生活様式にマッチする商材といえるだろう。店頭でも冷凍麺ならではのおいしさや簡便性といった商品特徴をしっかりと伝えることで、マーケットの拡大につなげていきたい。
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