イオンベーカリーも導入したフードロス削減サービス「TABETE」の次なる戦略

2021/02/15 05:55
    松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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    フードシェアリングサービス「TABETE」を軸にフードロス削減に関する事業を展開するコークッキング(東京都/川越一磨代表取締役CEO)。前編では、「TABETE」の仕組みや利用動向などを解説した。後編となる本記事では、コロナ禍での状況や今後の事業拡大の戦略について説明する。

    購入されるには「出品理由」の明記が必須

     「TABETE」では、出品した商品を購入してもらうことを「レスキュー」と呼んでおり、月間で約6000食がレスキューされている。

     「TABETE」の特徴として注目したいのは、出品する際には必ず理由を書かなければならない点である。単に「余ったので」「在庫」など、説明が短かったり雑だったりする商品はレスキュー率が低いとのことだ。なぜ余ってしまったのか、ユーザーが納得できる理由を明確に記入している商品が比較的売れやすい傾向にある。そのほか、ユーザーが帰宅時に購入しやすい夕方以降に出品された商品や、割引率が3割前後の商品も売れやすい。

    「TABETE」に出品する際は、商品が余った理由を明記する必要がある
    「TABETE」に出品する際は、商品が余った理由を明記する必要がある

    コロナ禍で月間出品数が約3倍に

     コロナ禍では、月間の平均出品数がコロナ前の約3倍となり、同様にレスキュー数も大幅に増えているという。ユーザー数も204月から211月までの10カ月間で約11万人増えた。

     ユーザー増加の要因としては、コロナ禍で苦境に立たされている店舗を助けたいという「応援消費」の意識が強まっていることが挙げられる。「これまでもロスで困っている店舗はもちろんあったが、コロナ禍ではテレビなどのメディアでそのような店舗を目にする機会が増えた。そこで初めて困っている店舗を助けたいと感じた人も多いのではないか」(コークッキング取締役COO 篠田沙織氏)

     店舗側の変化としては、コロナ禍で需要が読みづらくなりフードロスが発生しやすくなった。また、廃棄を恐れて生産量を減らしたことで、全体の売上が下がるといったことも起こるようになった。このような状況下、生産量を手探りで調整していくなか、「TABETE」への出品が増えているようだ。

     また、コロナ禍で飲食店がテイクアウトを始めたり、中食に完全に業態転換する店舗が増えたりしたことで、登録店舗数も伸長している。テイクアウト導入、業態転換直後は生産量の調整がうまくいかないため、ロスが出やすいことも出品数増加の一因となっている。204~5月の1度目の緊急事態宣言下では飲食店からの問い合わせが殺到し、月間で100店舗以上の申し込みがあった。

    コロナ禍では、飲食店が中食事業を展開し始め、「TABETE」を導入するケースが増えた
    コロナ禍では飲食店が中食事業を展開し始め、「TABETE」を導入するケースが増えた

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    記事執筆者

    松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

    1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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