ラッピングフィルム市場、コロナ禍で内食化進むなか生活必需品として需要が急増
節約意識や保存ニーズの高まりを受けて堅調に推移しているラッピングフィルム市場。今年は新型コロナウイルス感染拡大により、内食化が進行し、生活必需品であるラップは大きく伸長している。
コロナ特需で3、4月は2ケタ増
ラッピングフィルムのKSP-POSデータの期間通算(2019年10月~20年9月)金額PIは、2026円で対前年同期比0.5%増。1月までは前年割れが続いているが、2月にプラスに転じ、3、4月は2ケタ増となった。新型コロナウイルス感染拡大により、生活必需品であるラッピングフィルムのまとめ買いが起こり、生産が需要に追い付かず、一時品薄になる状況となった。9月に前年割れとなったのは、2019年の消費税増税前の駆け込み需要の反動によるものだ。
サイズ別では、15㎝、22㎝、30㎝の3サイズがあり、汎用性の高い22㎝サイズを中心に売れている。容量別では50mの長尺サイズが売れ筋となっているが、トライアルのために20mも品揃えとして欠かせない。
ラップ市場をリードしているのが、ポリ塩化ビニリデン製の商品で、旭化成ホームプロダクツの「サランラップ」と、クレハの「NEWクレラップ」が2大ブランド。ポリ塩化ビニリデン製のラップは、密着性が高く、水蒸気や酸素を通さないので食品の乾燥や劣化を防ぎ、におい移りもしない。さらにハリ・コシがあるため丈夫で切りやすい。また熱にも強いため、電子レンジでの解凍時に使用することも可能だ。
この2大ブランドが今年で発売60周年を迎えた。クレハでは、初めてのWEB動画を使ったコミュニケーションに挑戦。「ブランドの想い」を伝えたメッセージムービーは、多くの人から共感を得た。今後はWEB動画と店頭をリンクさせた施策を考案中だ。
一方、旭化成ホームプロダクツでは、サステナビリティの取り組みの一環として、8種類の「もしものときのサランラップ活用術」を開発し、特設サイトやSNSなどで発信している。生ゴミなどのニオイ対策や使い捨て手袋、防寒対策、紐やスポンジの代わりなど、もしものときの使い方が紹介されている。
ラップを使った上手な保存で食品ロス削減へ
食材の保存や調理を中心に使われているラップ。各社のホームページでは、食材に応じた冷凍保存のコツやラップを使ったおにぎり、サンドイッチのつくり方などわかりやすく解説している。おにぎりはラップを使って握ることで、衛生的で子供でも簡単に形をつくることができる。また、具材をたくさん使ったボリュームサンドイッチは、ラップで包んでから切ることで型崩れを防ぐことができる。
旭化成ホームプロダクツでは、野菜を中心に100近くの冷凍保存方法をホームページで公開。クレハでも食品保存のコツをホームページで紹介している。
ラップを使って食材を上手に保存することで、食品ロスの削減にもつながるため、各社ではSNSなどを活用して、情報発信に力を入れている。
在宅勤務がある程度普及したことで、今後も引き続き、内食化が進むことが予想されるため、調理や食品保存に欠かせないラップは今後も安定した需要が見込まれている。
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