アングル:近づく東京五輪スポンサー期限、契約延長に慎重な声

ロイター
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お台場にある五輪のマーク
9月8日、1年延期された東京五輪・パラリンピック大会に対し、複数のスポンサー企業が契約延長と協賛金の追加拠出に慎重な姿勢を示している。写真はお台場で7月21日撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 8日 ロイター] – 1年延期された東京五輪・パラリンピック大会に対し、複数のスポンサー企業が契約延長と協賛金の追加拠出に慎重な姿勢を示している。新型コロナウイルスの影響で業績が落ち込んでいる上、簡素化される大会では計画どおりの宣伝・収益効果が見込みにくいとみているためだ。一方で、企業間の足並みを乱したくないとの思いもあり、ジレンマに直面している。

東京五輪を巡っては、過去最高の約31億ドル(3300億円)のスポンサー収入が集まった。しかし、関係者によると1年延期で数千億円規模の追加費用が発生すると試算されており、大会組織委員会(組織委)がスポンサー企業に契約延長と協賛金の追加拠出を要請している。

あるスポンサー企業の関係者は「延期が決まった時点で収支計画が狂ってしまった。これ以上は支払いたくないという会社が多い」と打ち明ける。

スポンサー各社は、東京五輪をマーケティングの好機と位置づけてきた。協賛すれば、大会のエンブレムを広告活動に使用できるほか、スタッフ派遣、交通・通信インフラ、商品の提供など大会運営に関連したビジネスを優先的に受注できる。

契約期間は今年12月末まで。組織委は各社と個別に交渉しているが、多くの企業が新型コロナの影響で打撃を受けており、難航しそうだ。前出と別の関係者は「コロナ禍を乗り切るために全社的にコスト削減を断行しており、五輪延期のための追加費用を負担する余力はない」と話す。

国際オリンピック委員会(IOC)と組織委が、新型コロナ対策とコスト削減の観点から、大会運営を簡素化する方針を示していることも、スポンサー企業の判断に影響している。

企業関係者からは「想定していたような大会の盛り上がりは望めない」、「開催しても観客や参加者が減ってしまえば、一部のスポンサーにはメリットがあるかもしれないが、その他のスポンサーにとっては厳しいだろう」との声が聞かれる。

その一方で、「他のスポンサーが契約を延長するのに、うちだけが延長しないとなると、それも足並みを乱すことになる。追加出費せずに契約延長できる方法はないか探っている」と話す企業関係者もいる。

組織委はロイターの取材に対し、交渉に際して「新型コロナウイルスが一定の影響を与えていることは確かだが、今後も理解と協力を得られるよう、あらゆる努力を続ける」とコメントした。スポンサー企業とはオンラインでの会議で役員が直接説明し、定期的なコミュニケーションを続けているという。

スポンサー企業には東京五輪後もスポンサーを続ける最高位パートナーの「ワールドワイドオリンピックパートナー」が14社。東京五輪のみのスポンサーとして「ゴールドパートナー」「オフィシャルパートナー」「オフィシャルサポーター」の計67社があり、契約内容や協賛金の額はそれぞれ異なる。

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