「がんばらない経営」で勝ち抜く! ケーズHD吉原社長が明かす強かな成長戦略
多くの家電量販店が「脱家電」の姿勢を鮮明にする中、郊外ロードサイドを主戦場に「家電専業」を貫き、独自のポジションを確立しているのがケーズホールディングス(茨城県/吉原祐二社長)だ。
組織づくりも特徴的で、「がんばらない経営」を掲げ、従業員が無理なく成果をあげられる環境整備に力を注いできた。家電の買い替えサイクルが鈍化し、需要が先細りする中、同社はどのようにして成長を図ろうとしているのか。2024年6月から社長を務める吉原祐二社長に聞いた。
高機能、省エネなど付加価値の提案を重視
──現在の市場環境をどのようにとらえていますか。
吉原 21年3月期はコロナ禍の巣ごもり需要やテレワークの普及、郊外型店舗の追い風を受けて過去最高益を記録しました。その後は旅行支援策による消費分散や物価高騰の影響で減益基調となりましたが、25年3月期は4期ぶりの増収増益を果たしました。節約志向が続いているものの、26年3月期に入ってからも業績は堅調に推移しています。
家電は生活必需品ですが、近年は買い替えのサイクルが鈍化している印象です。だからこそ、高機能や省エネといった付加価値のある商品の提案が重要になります。たとえば、洗濯乾燥機は方式によって電力消費や衣類へのダメージの度合いが異なります。単に価格だけでなく、長期的な機能面や経済性まで含めて説明していくことが求められます。

──業界では「脱家電」の動きも見られる中、あえて家電専業を打ち出している意図は何でしょうか。
吉原 当社もかつて書籍やCD販売を手掛けたことがありましたが、品揃えや専門性が不十分だと、結局はお客さまがECに流れてしまいます。多角化自体は否定しませんが、無理に広げるのではなく、まずは家電事業でしっかり利益を出したうえで検討する、というのが当社のスタンスです。
家電に特化し、熱量を持って販売に取り組むことで、たとえ会社全体が業界トップの売上規模でなくても、「このカテゴリーはケーズさんが日本一売ってくれる」とメーカーさまから評価をいただけています。そうしたメーカーさまとの関係構築にも確かな手応えを感じています。
建築コスト高騰下でも出店拡大は継続
──プライベートブランド(PB)商品の開発については、どう考えますか。
吉原 過去の経験から、家電PBは保守対応や安全基準の確保など、小売側の負担が大きいと判断しました。そのため現在は当社が製造元となるようなPBには取り組んでいません。代わりに
本記事でわかることは
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