フードデリバリーの常識を覆す? ウォルトが一部デリバリー商品を店頭価格と同一に

取材・文:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

フィンランド発のフードデリバリーサービス「Wolt(ウォルト)」を展開するWolt Japan(東京都/ナタリア・ヒザニシヴィリ代表 以下、ウォルト)は92日より、デリバリー商品の価格を店頭と同一に設定する新たな取り組み「デリバリーなのに店頭価格」を、東京都内の一部店舗を対象に開始した。インフレ下で節約志向がより高まるなか、フードデリバリーの利用ハードルを下げることで、新規顧客の開拓と継続利用をねらう。

「シェイクシャック」「ぼてぢゅう」など都内360店舗が対象に

 これまで国内のフードデリバリーサービスでは、デリバリー商品の価格が店頭価格より34割高く設定されるのが一般的だった。加盟店舗が負担する手数料の一部を、価格に転嫁するケースがあったためだ。

 今回ウォルトが実施する「デリバリーなのに店頭価格」は、そうした価格設定を見直し、利用者がアプリ経由でも店頭と同じ価格で商品を注文できるようにした。さらに月額制のサブスクリプションサービス「Wolt+(ウォルトプラス)」を併用すれば、配達料が無料となり、サービス料も30%オフになるという特典も用意した。

 対象となるのは、東京都港区・新宿区・渋谷区にあるウォルト加盟店の360店舗。ハンバーガーチェーンの「シェイクシャック」や、お好み焼きの「ぼてぢゅう」などが含まれている。

 詳細な数値は非公開だが、今回の取り組みに賛同した店舗に対して、加盟店側が支払う手数料が大幅に引き下げられたという。これにより、店頭と同一価格でのデリバリー商品の提供が実現した。一方のウォルトにとっては手数料収入が下がることになるが、利用者や加盟店の拡大により、全体の売上増につなげたい考えだ。

シェイクシャックの商品

 Wolt Japanの広報担当の龍信太郎氏は、今回の取り組みの背景について「デリバリーサービスへの需要は根強いものの、昨今の物価高の中では、やはり(デリバリーサービスに支出する)価格がネックになっている。少しでも気軽にウォルトを使っていただけるよう、今回の取り組みを始めた」と話す。

 

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取材・文

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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