コンテスト参加による販売実績の伸長や陳列技術の向上など多様なメリット
メーカー主催のディスプレイコンテストが引き続き活発に開催され、今年も多くの店舗が参加している。メーカーにとっても参加するチェーンにとっても、それだけのメリットがあるからこそだが、実際に参加する店舗は、どのような判断で参加を決定し、何をめざしているのだろうか。日頃、積極的にディスプレイコンテストに参加している企業を対象としたアンケートを実施し(34人が回答)、取り組みの実情を聞いてみた。
「陳列技術の向上」「売上アップ」など複合的な成果をめざす
ディスプレイコンテストの開催は、ダイヤモンド・チェーンストア誌掲載の告知記事や弊社のオンラインメディア「Display Contest ONLINE」、弊社メールマガジン「プロモーション情報フラッシュ」などの媒体をはじめ、取引先やメーカー営業担当からの提案など、さまざまな情報から知ることができる。
ダイヤモンド・チェーンストア誌では毎年「ディスプレイコンテストに関するアンケート」を実施しており、店舗やチェーン本部の意識を聞いており、年ごとに微妙な変化も見られる。今回もアンケート結果の概要を紹介する。
多くのコンテストが開催される中で、どのような基準を持っているのかを尋ねたのがQ1だ。
「基本的にすべて参加」は1人のみ。そのほかは、「カテゴリーによって選択」が24人、「テーマによって参加」が27人と、コンテストを選別しながら参加していることがわかる。
こうした企業に、どのようなテーマなら参加しやすいかを尋ねた結果では、「春・夏・秋・冬などの季節をテーマにしたコンテスト」が22人と最も多かった。
次に多かったのが「52週の催事テーマに合う」の20人。「新商品・リニューアル品がテーマ」(14人)、「ブランド・商品の〇×周年がテーマ」(13人)と続く。やはり基本的な季節催事や年中行事に合わせた企画のほうが、もともと仕掛けが必要なタイミングでもあり、参加しやすいということだろう。
Q2「ディスプレイコンテストに参加する理由」については、昨年のアンケートでは「売上アップ」が最も多かったが、今回は「陳列技術の向上」が29人とトップ。
「売上アップ」という回答も28人と引き続き多かった。「お店の鮮度感」(25人)、「メーカーとのコミュニケーション」(25人)、「お客さまの満足」(23人)と続く。「賞金」も19人が理由としてあげており、参加の目的は複合的で、さまざまな効果を視野に入れていることがわかる。
Q3「陳列方法について」の質問では、「基本すべて自店で陳列する」が20人でトップだが、「陳列内容は自店で考え、陳列はメーカーと協働でする」も18人と多かった。積極的に参加している企業の場合、陳列のアイデアや陳列そのものへのこだわりも強く、陳列技術も高いことが想定できる。それだけにメーカーに任せきるのではなく、あくまで自社のアイデアや技術を生かしたいと考える傾向が強いようだ。
Q4「ディスプレイコンテストの実施はどこで知るか」については、「メーカーの営業マン」(24人)がトップ。次いで『ダイヤモンド・チェーンストア』を読んで」が15人で、この2つのルートが主な情報源となっているようだが、複数の回答をあげる企業が多かった。例年のアンケートと比較すると「大陳メールニュース」(8人)、「『Display Contest ONLINE』を見て」(7人)が増加トレンドにあるのが注目される。
Q5「コンテスト参加は誰が決定しているか」では、「バイヤー・商品部長」が29人と最も多かった。次は「店長」と「売場担当者」がともに8人で、店舗の判断で参加を決定するケースも少なくないようだ。
Q6「売場づくりには『いつ』『何人で』『どれくらい時間をかけているか』」という質問については、「営業時間中」(31人)が最も多く、「営業時間前」(4人)や「営業時間後」(0人)は少ない。これは例年のアンケートと同様の傾向だ。
「陳列を行う人数」については「2人」(22人)が圧倒的に多く、主流。「3人」(5人)、「1人」(4人)と続いている。「陳列の所要時間」については「1~3時間未満」(26人)が大勢となっている。
Q7「コンテストに使用するツールについて」は、「メーカー支給のツールを使用」(32人)、「自店で手作りしたツールを使用」(26人)がほぼ並ぶ。これも例年と同じ傾向で、できる限りオリジナルツールを取り入れて、独自性を出したいという意識がうかがえる。
Q8「POPづくりにどのような資材・道具を使っているか」については、「A4プリンタ」(15人)、「ポスカなどの太字マーカー」(14人)、「大型プリンタ」(12人)、「パソコンソフト/イラストレーター」(12人)などが多かった。また自社のPOP制作機を使用しているという回答も少数だが寄せられている。
テレビCMや試食販売への高い評価
最後にQ9では、ディスプレイコンテスト以外のさまざまなプロモーション施策についても、その効果を尋ねている。
「メーカーが実施するプロモーションへの評価」について施策ごとに聞いたところ、「メーカーのテレビCM」には「効果がある」と32人が回答し、評価が高かった。
「試食販売」については、29人が「効果がある」と肯定的だ。コロナ禍で試食販売の展開が難しかった時期を経て、あらためて効果が注目されているかもしれない。
また「メーカーの消費者キャンペーン」も「効果がある」(23人)という回答が多かったが、「チェーンタイアップキャンペーン」は17人が「効果がある」と回答した一方、「どちらともいえない」という回答も17人。評価が分かれている。
「サンプリング」については、「効果がある」(20人)、「どちもともいえない」(14人)という結果で、「デジタルサイネージ」については「効果がある」(15人)、「どちらともいえない」(19人)という結果だったが、昨年よりも効果を認める回答が増える傾向にあった。
この他にコンテストを実施するメーカーに関して、「提案を早い段階でいただきたい」「アイテムが多すぎる場合がある」「受賞した企業だけが使える販促物をもらえると他社との差別化につながる」といった声が寄せられた。