小売業が的確な競合対策を打ち、自店のシェアを高めるためにすべきこととは

楢村 文信(StratModel)
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前回の戦略設計におけるターゲット顧客に続いて、今回は3番目と4番目の軸である「競合」「競合との差別化」について解説していきたい(戦略設計6つの軸は連載第4回参照)。

 ここでの「ビジネスクエスチョン」は次の2つである。

 ①競合:ターゲット・ショッパーに対して自分たちの競合は誰になるのか?

 ②差別化:その競合に対するポジションを向上させるために、どのような機会が存在するか?

 日本は、人口が集中している地域では規制の影響もあり小型店舗がオーバーストア状態となっており、厳しい競争環境にある。この2つのビジネスクエスチョンの示唆するところは、「戦略として誰とどう戦うのかを見極める」ことで無駄な消耗戦を避けるということである。

データ分析のイメージ
小型店舗がオーバーストア状態の環境では「戦略として誰とどう戦うのかを見極める」ことで無駄な消耗戦を避ける(i-stock/lemono)

顧客による店の使い分けを理解する

 図表❶は競合と自社を比較するための考え方を説明するテンプレートだ。先に断っておかなければならないのは、このテンプレートは欧州の教科書をもとにしているので、データサービス会社がデータ提供していることを前提にしている。

 しかし、日本では小売業の市場シェアを含め競合に関するデータの入手が難しいのが現状なので、ここでは「市場分析の見方」として捉えていただきたい。図表❷も同様、海外では世帯パネルの購買データから作成しているが、日本では入手が難しい。ただ、日本でもレシートデータなどから手に入るデータも存在している。

 ここでの比較ポイントは「市場シェア」である。前回決めたターゲット顧客層で見た場合の市場でのシェアと自社顧客の中でのシェアを比較している。加えて利用頻度と支出の傾向も比較している。

 このテンプレート(図表❶)のケースでは、

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