ウォルマートが実践!死筋商品の整理と売れ筋のフェース拡大、その手法を全解説!

佐々木 桂一(リテイリングワークス)
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食品小売業のインテリジェンス化_banner

死に筋の整理とフェーシング数拡大

 売れない商品(死に筋)を整理し、売れ筋商品のフェーシング数(陳列量)を拡大することで、徐々に店舗の売れ筋商品が明確になる。しかし、多くの小売企業では、年に1回から2回の棚割り変更(棚替え)時のみ、死に筋商品の整理やフェーシング数の増減を進めるケースが大半だ。

 加えて棚替え時の商品の改廃基準、フェーシング数の設定基準が明確化されておらず、分類体系も曖昧だ。その運用方法もしかりで、バイヤー個人の裁量に依存し、ルーチン作業として、惰性的に棚割りの改廃が行われている。

 小売業にとって重要な「商品戦略(何に重点を置くのか? )」、「商品政策(具体的に実行するための決まりと進め方)」を具現化するための商品構成プロセスにもかかわらず、そのあるべき状態や効果測定が明確になされないまま、年間行事として実行されているのが現状なのだ。

 まずは過去の数値を分析し、商品戦略や政策の変更を企業の重要な決定事項として明確にする。次にそれに基づいて商品部が品目とフェーシング数を決定し棚割りを作成する。これにより、店舗(現場)と顧客に意図した商品構成を伝えることができるのだ。

 顧客に支持される豊かな品揃えを実現するために店舗は「①商品の購買決定に必要な情報提供の場」、「②お買い得な商品を推奨し、商品の価値(価格と効能)を理解してもらう場」「③最終的に、短時間で購買の決定をしてもらう場」としての条件を満たさなければならない。

 だがSKUと売価の種類が多いことで、商品の売価と効能の比較が複雑になり、結果としてお客が購買決定に迷い、結果購買されないという、上記の条件とは逆の売場になっている店が多い。

 要するに、「商品構成」が不完全というわけだ。その結果、部門単位の収益の変化がコントロールされず、ベンダーの推奨する高単価商品が棚割り変更時に追加され、死に筋商品をカットしても次の新たな死に筋が追加されるという「もぐらたたき」状態になる。

 また、売れ筋商品も明確にならず、経営数値が根本的に改善されることなく、ベンダー依存の、他社と同質化した棚割りを延々と継続していくことになるのである。

4週、13週単位で変更を実行する

 即時に業績を変化させたければ、定期的な棚替え時ではなく、4週単位もしくは13週単位で、死に筋商品の排除、販売数量に応じたフェーシング数の拡大・縮小を実行すべきだ。「次の棚割り変更時にやろう」とか「わかっているけど、そんな時間はない」と日常業務に追われるばかりでは、事態は悪化するばかりだ。売れない商品が店内に多く存在する「ムダな売場」を変えなければならない。

 悪しき慣習をやめ、愚直に改善に取り組むことこそが企業に変革をもたらす。そして、

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