事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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本日は、アパレル企業の事業再生後半をお届けしたい。軽く前回のおさらいをすると、事業再生は「キックオフ」と呼ばれる改革のスタートを全員で行う儀式からすべてが始まる。キックオフまでに、計画に穴がないか、また、そもそも正しい計画なのかを再度見定めてキックオフを行うことはいうまでもない。今回はその続きだ。

metamorworks/istock
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実行フェーズ 現場の信頼を獲得し、「生の情報」を得る!

 コンサルティングの世界では、ペーパーに書き綴った計画を実行に移すことを「インプリメンテーション」という。インプリメンテーションで大事なのは、クライアントと仲良くなり絶対の信頼を勝ち取ることだ。

 私の場合、そのために自分の席を現場の真ん中に置いて現場の人と一緒に仕事をするようにしている。現場で仕事をし続け信頼を獲得していくと、「本当か?」というような貴重な情報が入ってくることがあるからだ。

 実際気心が知れてくると、私宛に支援先の社員(当然、近くで一緒に仕事をしている)からメールがよく届くようになる。中には「河合さん、お話ししたいことがあるのですが、内密に時間をとれますか」というものも少なくない。話を聞くと、今起きているトラブルの原因は自分の上司だが、自分の上司はそれを隠蔽しようとしており、また、上司だから指摘することもできない、といったものだ。こんな話がどんどん入ってくる。「現場」は見ているのだ。

 もちろん、得た情報を元に直ちに改革に入れると“ややこしい”ことになるので、まずは情報をすべてヒアリングしたうえで、ノートに書き込んでおく。複数の社員との11の「インタビュー」を通して上手に裏取りをすることは、言うまでもなく重要な仕事だ。私たちは常にニュートラルでなければならず、誰かにバイアスをかけられてはいけないのである。

 

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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