2%物価上昇へ期待=異次元緩和効果に自信―日銀13年下半期議事録
日銀は31日、2013年下半期(7~12月)に開いた金融政策決定会合の議事録を公表した。3月に就任した黒田東彦総裁が国債を大量購入する「量的・質的金融緩和(異次元緩和)」を始めた直後で、景況感改善に伴い物価も上昇基調を強めていった時期に当たる。会合では「2年程度で2%」とした物価上昇目標の実現に期待を示す声が目立った。
2年でマネタリーベース(資金供給量)を倍増させる異次元緩和は、あらゆる手段で緩和を進める姿勢を示し、家計や企業の間に物価上昇期待を高めるのが狙いだった。13年4月の導入以降、全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年同月比はマイナス0.4%(4月)から1.3%(12月)に上昇。岩田規久男副総裁は9月5日の会合で「想定通りの効果を発揮しつつある」と手応えを示した。
異次元緩和で円安が進み、輸出企業を中心に業績が改善して株価も大幅に上昇した。景気判断は7月11日会合で、「緩やかに回復しつつある」に上方修正し、9月5日会合では「緩やかに回復している」に再び引き上げた。デフレ脱却に向け経済の好循環が強まりつつあり、「14年度の終わりごろから15年度中に、物価安定目標である2%程度に達する可能性が高い」(中曽宏副総裁)との見方も広がった。
日銀は7~12月の全会合で、大規模緩和の維持を全員一致で決定した。「黒田バズーカ」と称された異次元緩和の導入後は「じっくり構えて戦力の逐次投入はしない」(佐藤健裕審議委員)との姿勢を示した。
ただ、「2%まで達することは容易ではない。ましてや2年で達成するには大きな困難が伴う」(木内登英審議委員)との意見もあった。木内氏は毎回の会合で、異次元緩和を「2年程度の集中対応措置」として、目標未達の場合に見直すよう求める独自提案を出していたが、反対多数で否決された。
14年4月に控えた消費税率の5%から8%への引き上げについて、黒田氏は「駆け込み(需要)とその反動はあるが、全体として日本経済が緩やかながらも回復する見通しは変わらない」と強気な姿勢を示した。ただ、実際には税率引き上げなどを機に再びデフレ圧力が台頭。持続的・安定的な2%目標は現在に至るまで未達のままだ。