リテールメディアに積極出店!成長加速するカルフールの戦略とは

解説・文:松本 渉(ローランド・ベルガー パートナー)、前島 有吾(ローランド・ベルガープリンシパル)
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中期経営計画で掲げた3本の柱

 コロナ禍で外出が抑制されたなか、グローバルレベルで人々の消費行動はリアルからオンラインに加速度的にシフトし、アフターコロナのフェーズに入った2023年以降もその傾向は継続している。加えて、直近では原油・原材料価格の高騰等に端を発した急激なインフレが世界で進んでおり、消費行動の冷え込みを招いている。

 そうした状況下、グローバル大手小売業の一角であるフランスのカルフール(Carrefour)が22年11月に、中期経営計画「カルフール2026(Carrefour 2026)」を公表した。その中では、全方位的に多様な戦略・施策が明記されているが、上述した消費環境の大きな潮流変化に対する取り組みをとくに強化しており、まさにカルフールのパーパスである“The Food Transition for All( すべての人々に食の革新を)”を体現するものとなっていた。

 本稿では、その主たる取り組みである①チャネル戦略(デジタル接点強化)、②商品戦略、③出店戦略の3つに注目して具体的に見ていきたい。

カルフール外観
カルフールは価格競争力と利便性のさらなる向上を図る

ECの顧客体験向上とリテールメディアを強化

 まず①チャネル戦略については、「カルフール2026」を掲げる以前の21年11月に「デジタル・リテール戦略」を公表しており、「ECにおける顧客体験の高度化」「リテールメディア事業強化」が主な内容となっている。

 ECにおいては、

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