ゴルフ、外商、ロボットにプロレス!?新宿高島屋の売上が過去最高に迫る納得の理由
日本の商業の中心地、新宿・渋谷。コロナ禍を経て、小田急百貨店、東急百貨店と長い歴史を持つ旗艦店が姿を消し、百貨店の勢力図が大きく変わった。その中で存在感を高めているのが、「新宿高島屋」だ。2022年度の決算では過去最高に迫る売上を達成した。その好調の秘訣について、執行役員 新宿店長の増井大輔氏に聞いた。
コロナ禍前を超える“超回復”の売上を達成
新宿高島屋の2022年度(23年2月期)決算の売上高は795億円。前年度の584億円から36%増と大きく躍進した。コロナ禍に入る直前の2019年度が717億円なので、それと比較しても約1割増という“超回復”ぶりだ。ちなみに、この増加率は高島屋の全店でも最大だ。
1996年に開業した新宿高島屋の、四半世紀以上の歴史の中で最大の売上を記録したのは2003年度の827億円。「その時以来の800億円台が見えてきた」と、今年3月に玉川店から同店の店長に就任した執行役員 新宿店長の増井大輔氏は語る。
その新宿高島屋の好調の背景にあるのが、新宿・渋谷エリアの商圏構造の大きな変化だ。2022年10月、小田急百貨店が新宿店本館の改装に着手し、売場規模を大きく縮小。また、2023年1月末には東急百貨店本店が閉店。ともにコロナ禍の直前には900億円規模の売上を誇り、新宿、渋谷の象徴でもあった2つの百貨店が長い歴史に幕を下ろしたことは、業界内にも大きな衝撃をもたらした。
同時に、同商圏では売上規模で後塵を拝していた新宿高島屋にとっては、この勢力図の変化は大きなチャンスでもある。新規顧客を取り込むべく、コロナ禍の停滞期の間に大幅な改装とMD(商品政策)の再設計を着々と進めてきた。