すべて逆張り!?「感動接客」のノジマが仕掛ける、家電不毛地帯への出店戦略の勝算

油浅 健一
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デジタル家電専門店のノジマが、強みを最大化する出店戦略でさらなる拡大を推し進める。低成長時代にあって堅調に業績を伸ばし続ける同社。強みはファンができるほどに磨き上げられた接客力だ。あらゆる業界で利便性と価格競争力で圧倒するEC化が加速する中、あえて、「うちの強みの源泉は支店経営」と店舗人材による差別化を鮮明にする。ノジマ の野島廣司社長に、ECシフトが主流の時代に、あえてリアル店舗にこだわる逆張りの出店戦略の勝算とは──。

ノジマの小型店に位置付けられるノジマ三鷹東八店
ノジマの小型店に位置付けられるノジマ三鷹東八店

「一等地」の意味が変質する中での出店戦略

 コロナ禍を経て、各業界で出店戦略の潮目が変わった。在宅ワークが定着し、都市部への人出が減少。人の流れが様変わりしたことで、一等地への大規模店舗出店の意味合いが変わり、ロードサイド、住宅地への出店など、人の流れや商品特長に合わせた場所選びが販売力を高めるより重要な要素となった。

 そうした中、ノジマが着目するのが、首都圏の住宅街やその周辺のショッピングセンターだ。「首都圏にはまだ家電店がない“隙間”がある。出店戦略は、ニーズを見極めながら、そうした空間を埋める形で進めていきたい」と野島社長は語る。

 “隙間”とは、外出が減り、人が滞留するようになった消費者の生活圏だ。野島社長は「お客さまの近くへ行って、便利に使ってもらえたらいいと思っている」と売場をより生活圏へ近づける出店戦略の意図を明かす。

 ノジマは総投資額600億円程度を投じて、2028年までに小型店を中心に100店舗ほどの大量出店を計画する。22年3月末時点の店数が205店なので、約1.5倍に増えることになる。特に集中出店を見込むのが、まだまだ店舗網が手薄な東京23区などを中心とする東京エリアだ。こうしたエリアへのスムーズなデリバリー体制を構築するため、22年9月、埼玉県三郷市に物流センターを開設した。 

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