今後日本でも実店舗が増える? Amazonと違う価値を実店舗が追求すべき理由

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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グローバルで見ると、米国ではステイホーム以前から実店舗数が減少しており、逆に中国の店舗数は増大しています。この違いの原因はどこにあるのでしょうか。日本でも現在実店舗は減少傾向にありますが、今後は中国と同じように大きな変化を伴って店舗数が増大してくる可能性があります。迫りくる変化に対応するためには、その理由をしっかり把握しておく必要があるでしょう。

gorodenkoff/iStock

オンラインへの投資が落ち着きつつある中国

 多くの経営者にお話を伺っていると、たとえばブランディング目的で1億円の投資をする際、WEB上のコンテンツをさらに充実させるより、店舗に投資して集客した方がよい結果を生む傾向にあるといいます。ファンとのエンゲージや記憶の価値、さらには購買率に至るまで圧倒的に店舗の方がよい数字になるのです。

 これはBtoBに置き換えるとわかりやすいのですが、昔は展示会やリアルでの商談は営業マンが喋れば喋るほどエンゲージも簡単に上げることができました。しかしオンライン展示会やウェビナーでは、そういった対面特有の熱量を伝えるのが難しいことから、どうしても限界があるためエンゲージは下がってしまいます。オンラインへの最低限の投資は必須としても、一定の投資が完了すれば結局店舗に投資する方がエンゲージも上がるようになるのです。

 同じように、中国は世界的に見てもデジタル化が非常に進み、成熟してきていることから、現在は店舗への投資が活発になっています。オンラインへの投資が完了した一方で店舗はまだまだ伸びしろも多く、エンゲージもさらに高めることができるため、米国と日本で店舗数が減少している一方、中国では増大するという逆転現象が起こっているのです。

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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