米CVSヘルス、在宅医療サービスのシグニファイを買収 約80億ドルで
米ドラッグストア大手のCVSヘルス(CVS Health)は9月5日、在宅医療サービスのシグニファイヘルス(Signify Health)を約80億ドル(約1兆1200億円)で買収すると発表した。シグニファイを傘下に収めることで、プライマリーケア(初期診療)市場に本格参入する。
シグニファイは全米50州に1万人以上の臨床医を擁し、往診とオンライン診療による在宅医療サービスを提供している。同社は2021年2月にニューヨーク証券取引所に上場しており、21年12月期の売上高は7億7340万ドル、純利益は990万ドルだった。
CVSは、シグニファイの株式を1株当たり30.50ドルで買い取る。シグニファイの株価は9月2日の終値で28.77ドルだった。シグニファイの株主総会や規制当局の承認などを経て、23年上期に買収を完了する予定だ。
CVSはドラッグストア店内に設置した簡易診療所「ミニットクリニック(MinuteClinic)」を約1100カ所展開しており、軽い病気やけがの治療、ワクチン接種、健康診断などを行っている。07年には薬剤給付管理大手のケアマーク、18年には医療保険大手エトナと経営統合した経緯がある。
米国の大手小売業は相次いでプライマリーケア市場に参入しており、アマゾン(Amazon.com)は7月、会員制のプライマリーケア事業を展開しているワン・メディカル(One Medical)を約39億ドルで買収すると発表した。ワン・メディカルには、CVSヘルスも買収提案を行っていたと報じられている。
また、CVSのライバルであるドラッグストア大手のウォルグリーン(Walgreens)は21年10月、プライマリーケア企業のビレッジMD(VillageMD)に52億ドルを追加出資して、株式保有比率を63%に引き上げることで合意した。ビレッジMDの診療所を併設した店舗を25年までに600店、27年までに1000店に増やす計画だ。
一方、ウォルマートは18年、店舗に併設した診療所「ウォルマート・ヘルス(Walmart Health)」を29年までに全米で4000カ所に増やす計画を明らかにしたが、現在のところその数は20数カ所に留まっている。