ITが可能にする 爆買いなきインバウンド攻略法
インバウンド客への“代替え提案”で欠品ロスを防ぐ
「日本での買い物を頼まれても、店頭でずばりその商品を見つけられればいいが、品切れともなれば、何も買って帰ることができない。日本人であれば、セカンドベストの類似品を探すことも簡単だが、海外からの旅行客の場合、現状の日本の売場ではそれは難しい。旅行客にしてみればおみやげを買えないことになり、店側としても販売機会の損失になる」
商品バーコードを利用し商品情報を多言語で表示するアプリとプラットフォームを提供するPayke(ペイク)(東京オフィス/古田奎輔社長)の担当者はそう話す。
同社が開発・提供する「Payke」は、アプリ上で商品バーコードをスキャンすると、商品情報や一般客からの口コミ情報など、買い物をする際に参考にしたい情報を、ユーザーが希望する言語で表示してくれるもの。現在、日本語、繁体字(台湾、香港、マカオ)、簡体字(中華人民共和国、シンガポール、マレーシア)、英語、韓国語、タイ語、ベトナム語の7言語に対応している。
バーコードで検索可能な商品は、同社のプラットフォームを導入している企業のものに限られるが、取材した時点で、医薬品、食品、日用雑貨などの大手メーカー1200社以上、商品登録点数30万点以上あり、食品スーパーやドラッグストア、家電量販店などで扱う主要な商品をかなりカバーできている。
店頭での使用シーンだが、Paykeアプリをダウンロード(現状390万ダウンロード)した一般ユーザーが自分の買い物のために使う以外に、店舗側がアプリをダウンロードしたタブレットを売場に用意し来店客に使ってもらうというケースも増えてきているという。
「海外からの旅行客が知っているブランドはカテゴリー№1が中心。Paykeを利用すれば、お目当ての商品が品切れの場合でも、その商品の横に並ぶ同カテゴリーの別商品を知ることができ、代替購入につながっている」(同)
Paykeアプリを利用するには、性別、言語、年齢を入力する必要がある。このデータと、店頭でのスキャニングデータから、どのような属性の人が、どこで、どの商品に興味をもっているかを分析することができるが、意外な結果が出てくることもある。中国人が購入しているとばかり思っていた商品が実は韓国人に好まれていることがわかり、メーンのPOPを中国語から韓国語に変更したところ、売上げが動き始めたという事例も生まれているそうだ。