緊急現地レポート セブン-イレブン沖縄進出!ローソン、ファミマと真逆の商品政策の理由と勝算
沖縄県民は「内地の商品」を求めている?
ただ、売場を見てみると、ファミリーマートやローソンに比べて“沖縄らしさ”が感じられるオリジナル商品はそれほど多くない印象だ。これには、れっきとした理由がある。
セブン–イレブンは沖縄への出店に先立って、内地と同様に綿密な市場調査を実施している。その一環として、約1万人に対して「街頭アンケート」を行い、セブン–イレブンにどのような商品を期待しているのか、県民に直接聞き取り調査を実施した。
大多数の人が「沖縄の味」を求めているのかと思いきや、結果は意外なものだった。「およそ6割の方から『内地のセブン–イレブンで売っている商品が食べたい』という声が上がった」(広報)のだ。
これまで店舗はなかったものの、セブン–イレブンのブランドパワーは沖縄でも決して小さくない。オープン日の早朝から、多くの人が列をなしたことからもそれは明らかだろう。そして、沖縄の人々が求めるのは、“沖縄らしい商品”ではなく、テレビやSNSなどで話題となっているセブン–イレブンの人気商品だったのだ。
ファミマ、ローソンと逆行するMDは成功するか
こうしたマーケティング調査の結果を踏まえ、セブン–イレブンは内地の店舗でのMDをベースとしながら、総菜やホットスナックなどで地域限定商品を差し込む形をとった。この戦略は、“沖縄色”を強く打ち出すファミリーマートやローソンとは一線を画したものだ。ファミリーマートにいたっては、「中食商品の7割程度は地域限定商品もしくは沖縄向けに味つけを変えている」(沖縄ファミリーマート広報)ほどで、ほとんど逆行していると言ってもよいくらいだ。
もっとも、どちらの戦略が正しいのかは現時点ではわからない。セブン–イレブンのマーケティングや商品開発の精度の高さは言うまでもないが、ファミリーマートやローソンにも、これまで20年以上にわたり沖縄で培ってきたノウハウがある。最後発となったセブン–イレブンが先行2社の牙城を崩すのか、はたまた戦略の転換を迫られることになるのか。セブン–イレブンの手腕が問われる夏になりそうだ。