安全安心だけでは広がらない オーガニックに必要な価値とは!?

2019/06/25 05:00
    宮川耕平(日本食糧新聞社)
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    希少、便利、バラエティ、見栄え!

    ライフコーポレーションのオーガニックミート提案(左)と、ビオセボンによる国産オーガニック牛の展開
    ライフコーポレーションのオーガニックミート提案(左)と、ビオセボンによる国産オーガニック牛の展開

     ビオセボン・ジャポンは、19年2月から国産オーガニックビーフの取り扱いを始めました。国内でJAS有機畜産の認証を受けた牧場はまだ数軒しかなく、調達先である北海道オーガニックビーフ振興協議会(HOBA)の設立は17年4月と最近です。ビオセボンは、出荷が始まったばかりの貴重な肉牛を1頭買いしています。

     オーガニックビーフですから、飼料も全てオーガニック認定を受けています。飼料の一部である大豆は、有機醤油を製造した残渣を活用するなどの工夫をしています。牛はブラックアンガス種で、パワフルな赤身が特長といいます。大豆を与えることで、煮込み料理にしたときの味わいが違うそうです。

     国内飼育なのに和牛にしないのはなぜか? 和牛の場合、穀物原料の比率をさらに高めなければならず、現状では難しいようです。

     このビーフを冷凍で商品化することで、店にとっては販売期間を伸ばせます。消費者にとっても長く保存できるメリットになります。安心・美味しいのプラスアルファとして、ここでは冷凍にすることで保存が効くという「利便性」が加えられています。

     肉の凍結方法にもこだわりがあります。冷風を360度から浴びせる急速冷凍によって肉の品質を守ります。スキンパックされた商品は見た目も面白く、ラップ包装のチルドの精肉よりも肉感があるくらいです。自宅の冷凍庫にこれがストックされていたら・・・、インスタにアップしたくなるかもしれません。

     ライフコーポレーションも、都内の一部店舗で冷凍のオーガニックミートを扱います。こちらは輸入品で、ビーフだけでなく鶏肉も揃えます。オーガニックビーフの導入は近畿圏で先行しましたが、その時はチルドでした。首都圏では、やはり販売期間を考えて冷凍を選択したそうです。

     同じリーチインケースには、オーガニックではない鴨肉や仔羊肉のハンバーグ、フォアグラなども陳列します。オーガニックだけでは棚が埋まらなかった? そう疑ぐることもできますが、冷凍肉のバリエーションとして、かえって選択肢の広いコーナーになっていると思います。保存の効く冷凍の付加価値ミートの一種としてオーガニックを提案する・・・。それもやり方ではないでしょうか。

    そのオーガニックにテンション上がる?

     まとめます。オーガニック食品の「安全安心」に加えるべき価値。まずは「美味しい」こと。通常品よりも高価であるなら必ずそうあってほしいです。それが難しいわけですが。生産段階で最高の技術を注ぎ込み、「オーガニックだから美味い」となれば理想的です。

     プラスアルファとして、「希少性」とか「利便性」、「デザイン(見栄え)」。オーガニックにテンション上がる! そんな市場になることを期待しています。

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