流通再編の衝動その2 イオンが貫くM&Aの流儀

流通ジャーナリスト:森田 俊一
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“勝利の方程式”を見つけることができるか

 しかし、イオンも“ゆるやかな連帯”というような悠長なことを言っていられないケースもある。その代表例がダイエーだ。ダイエーは14年にイオン傘下に入って以降、業績が安定しない状況が続いている。そうした状況下、イオン社長も「ダイエーの看板はなくなる」などと発言。ダイエー再生に思い切った決意で臨むことを表明した。

 ダイエーの地方店舗はイオングループの事業会社が引き取るなどして関東、関西に集中するかたちの事業の再構築を実施した。この再編の効果により2019年2月期第4四半期決算では営業黒字を計上している。

 ただ、悩ましいのはイオン自身、中核事業である総合スーパー(GMS)の収益力向上の決定版を見いだせていない点だ。ダイエーにしても、過去にM&Aしたマイカルにしても、ドン・キホーテ(東京都)のような、業態転換で収益を回復させるという“勝利の方程式”を見つけられていない。

 ダイエーの店舗再生においては、食品スーパー業態は即食系の商品や簡便商品を充実させた業態「イオンフードスタイル」に、GMS業態は旗艦店を「イオンスタイル」にそれぞれ転換しているがその効果は未知数だ。

ボリューム拡大によってどのような「価値」を提供するか

 さて、イオンは傘下のSM事業会社の再編にも着手しており、20年3月までに首都圏を除いた全国6地域14社を地域単位で統合する計画を打ち出している。拡大したグループを効率の視点から再構築する格好だ。

 さらに中四国地盤のフジ(愛媛県)とも資本業務提携し、地域単位の再編に弾みをつける。M&Aなどで拡大したグループの枠組みを見直し、SM事業を収益の柱にしたい考えが透ける。

 GMSとともにSMでも、地域ごとにボリュームを拡大することで顧客に対してどういった「価値」を提供できるか。金融、デベロッパー事業だけではなく、“本業”である小売事業の収益力をいかに強化できるか。これからのイオンの課題である。

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