アマゾン×ライフに立ちはだかる 生鮮宅配の王者、生協の壁
注文受注率は8割超
脅威のリピート率
現在では全国に約700のセンター、約130の集品センターを有し、さらに約2万台の配送トラック、約2万人の配達担当者がラストワンマイルを担う体制を構築している。この独自の物流網は、昨今の人手不足に起因する物流費高騰の影響を各社が受けるなか、生協のアドバンテージとなっている。
さらに、生協ならではの商品も大きな強みの1つと言える。たとえば、生協が扱う「産直商品」。これは単なる産地から直送された商品ではない。生協が独自の原則を盛り込んだ協定書を生産者と結び、その基準に沿って生産された商品で、安全・安心を追求している。
また、組合員の声を反映して開発されるプライベートブランド「コープ商品」にも磨きをかけている。たとえば17年3月に発売された子育てサポートシリーズ「きらきらステップ」は、離乳食のほか、子供でも食べやすい大きさや食感、味付けにこだわった幼児食などを販売してヒット商品シリーズとなり、若い世代が生協に加入するきっかけの創出に成功している。
これらの独自商品の存在もあり、生協の配布した注文書に対する受注率は8割強と圧倒的なリピート率の高さを誇っているのだ。
そんな生協が「影響を受ける」と見るのが、アマゾンとライフのタッグによる生鮮宅配だ。ライフがアマゾンの有料会員向け即日配送サービス「Prime Now(プライムナウ)」に出店するかたちでサービスを提供する。東京都に約80店を展開するライフの店舗を拠点に、ライフの店頭の従業員が商品をピッキングし、アマゾンの専任配送員が商品を届けるというものだ。
2社のサービスの大きな特徴は、注文から最短2時間で商品が手元に届くという配送スピードの速さだ。タイミングによっては総菜をはじめ出来たて商品の配送も可能になるかもしれない。
これに対し「生鮮宅配は、商品の温度・鮮度管理が非常に難しい。ノウハウが構築されていなければ、配送品質のバラつきも懸念されるだろう。そうしたなか生協宅配は独自の配送網のさらなる強化。そして生協ならではの商品の強化にいっそう力を入れていく」と嶋田氏は語る。
アマゾンとライフは、生協宅配の牙城を崩すような新たな生鮮宅配の成功モデルを確立することができるのか注目だ。