欧米で広がる新業態「ドライブアップ・グロサリーストア」の衝撃とは

松岡 由希子 (フリーランスライター)
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ドライブアップ・グロサリーストア

 ドライブアップ・グロサリーストアとは、オンラインで注文した商品を店舗の駐車場で受け取るドライブスルー専用の食品小売店である。米国の郊外では2023年1月以降、ドライブアップ・グロサリーストアが相次いで開業している。

 スタートアップ企業のアディーズ(Addie’s)は23年1月、ベンチャーキャピタルから1010万ドル(13億6350万円:1ドル=135円で換算)を調達し、マサチューセッツ州ボストン郊外のノーウッドでドライブアップ・グロサリーストアを初めて出店した。

マサチューセッツ州ノーウッドのアディーズの1号店
マサチューセッツ州ノーウッドのアディーズの1号店

 約2044㎡の敷地には、ユーザーが商品を受け取るための駐車場と、従業員のみが立ち入るダークストアを設置。ユーザーはスマホアプリもしくはウェブサイトから商品を注文し、キャッシュレスで決済した後、指定した時間帯に店舗へ出向いて駐車場で商品を受け取る流れだ。なお、利用に際してサービス料などは一切課されない。

 ダークストアでは、生鮮食品や総菜、加工食品、飲料、日用品など、4000品目以上の商品が効率よく最適に保管され、在庫の状況は常にリアルタイムで正確に可視化されている。また、ピッキングや梱包などの作業効率を重視したレイアウトとなっており、受注から概ね90分以内で商品の準備を整えられる。

 アディーズと同様に、オクラホマ州を拠点とするドライブアップ・グロサリーストアのジャックビー(JackBe)も23年1月、オクラホマ州エドモンドで1号店を開業した。23年末までにさらに2店舗を出店する計画だ。出店に先立ち、22年4月に地元のベンチャーキャピタルから375万ドル(5億625万円)を調達したほか、投資型クラウドファンディングプラットフォーム「Wefunder(ウィファンダー)」でもこれまでに41万ドル(5535万円)以上を調達している。

 ベリファイド・マーケット・リサーチによれば、米国では食品ECの市場規模が

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記事執筆者

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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