セブン&アイが「生成AIファースト」宣言!意欲的な活用戦略と最新事例を語る!
「生成AIファーストの環境」をつくるために取り組んでいること
この「生成AIによるDXの加速」がキーワードだ。
従来は業務変革のポイントがわかっていたとしても、独力では実行フェーズが完遂できないなどの理由から、テクノロジーの専門家を巻き込むかたちでDXを推進してきたが、「生成AI時代は、テクノロジーの専門家でなくとも、業務変革のポイントがわかっていて、生成AIを正しく使いこなせれば、誰でも独力でDXが可能な時代になった」と齋藤CIOは力説する。
そのため同社では生成AIファーストの環境をつくることに注力しながら、プロンプトの体得を進めている最中だという。
「生成AIファースト」を社内に浸透させるためにセブン&アイでは、第1ステップとして概論研修、第2ステップとしてプロンプト研修を行っており、現在は第2ステップへの移行フェーズにある。
社内に先駆けて23年にグループDX本部の選抜メンバー約30名が「プロンプトデザインワークショップ」に参加、実践力の強化を図った。24年度中に経営陣からはじまり部・課長級、そして全社員への生成AI研修の実践を計画中だ。
「生成AIファースト」が進むなか、セブン&アイでは実際に生成AIを活用してどんな取り組みを行っているのだろうか?
5つの分野でプロジェクトを組成し推進中
セブン&アイでは先に示した3つのステップを参考に、以下のようにプロジェクトを組成し活用を推進している。
①汎用業務への適用
A)マーケティング活用
B)業務効率化(社内業務)
C)データ分析
②専門業務への適用
D)業務効率化(カスタマーサービス)
③新しい顧客価値の創造
E)店舗支援・顧客体験向上
たとえばA)マーケティング活用では、同社の「7iD会員」に対し、最適なメール配信を行う業務で生成AIの活用を進めている。
同社ではマーケティング施策を計画→企画→制作→登録→公開→検証に分けており、このうち全10タスクからなる「企画」業務のうち3タスクと全23タスクからなる「制作」業務のうち13タスクで生成AIを活用している。
企画業務では施策の壁打ち(アイデアの整理)業務、景表法の確認などに活用、制作業務では構成案のアイデア出しや、件名作成、誤字・脱字チェックなどに生成AIを利用中だ。
齋藤CIOは「生成AIは目的が明確なら誰でも使えるが、やみくもに使えばいいわけではない。大切なのは、業務プロセスのなかで、どの部分でどの目的で適用するかを明確化すること」と指摘する。
同じくマーケティング施策では「販促メール」の制作にも生成AIを活用する。これまで販促メールは委託先に依存していたが、生成AIとRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で内製化。効率化と自動化が可能となり、制作期間が従来の1か月から1週間へと激減させた。年間では1万時間が削減される見込みだという。
すでにセブン&アイでは、C)データ分析を通じた、E)店舗支援・顧客体験向上にも生成AIを活用しており、その事例について解説したい。