導入店舗急増中のイオンリテール「レジゴー」 利用者の買い上げ単価が増える理由は?
21年度中に100店舗に展開目指す
20年3月に2店舗で開始して以来、イオンリテールでは段階的にレジゴー導入店舗を増やしてきた。「買い物客にも好評で注目度も高い。導入したいという店舗側からの要望も増えてきた」(同)。イオンリテールでは、21年度末までに100店舗での導入を計画している。ただし、全国各地に導入するというよりは、特定の都市、特定のエリアに集中して展開する方針だ。同じエリアにレジゴーを設置すれば、特定の商圏内での認知度が高まるうえ、1人のお客さまがどこのお店に行ったとしても、レジゴーを利用することができるからだ」と語る。
21年4月からは、貸し出し用端末を使わずに、お客自身のスマホを使えるよう、レジゴーアプリを開始。さらに、非接触ニーズに徹底的に対応するため、ゲートにかざすだけで会計確認が完了する「レジゴーゲート」の導入も拡大しており、導入店舗拡大に弾みがつきそうだ。
CX向上に加えてEXの向上も実現
なお、同じイオングループで、マルエツやマックスバリュ関東、カスミといった食品スーパーを傘下に持つユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)でも、同様にレジ待ち解消を目的にスマホ決済システム「スキャン&ゴー・イグニカ」を20年11月から運用開始し、導入店舗を増やしてきた。
この仕組みとはどこが違うのだろうか?
基本的な買い物の流れは一緒だが、1つは、レジゴーは店頭に専用端末を置いて、スマホを持たない人でも、アプリをダウンロードしていない人でも利用可能な点だ。
次にレジゴーはクレジットカードの登録が不要である点も大きな違いだ。「結局はセキュリティのレベルをどこに設定するかで仕組みが変わってくる」と山本氏は、レジレス決済の仕組みを検討する上での難しい点を語る。
利用率を上げるという点も、店頭に貸出用スマホを置いておけば、気軽にレジゴーを使用できる点は大きいだろう。実際、これまでの利用率は20%を超えていると言い、想定以上に買い物客には好評のようだ。山本氏は「結局はハードルを下げて仕組みを開発したレジゴーの使いやすさが評価されているのだと思う」と語る。
店舗側も取り扱いが簡単なことが、導入店舗が増えている要因だ。「あたらしい仕組みも店舗スタッフにとって手間が増えるだけでは、積極的にお客さまに利用を促すように取り組んでくれない。その点、レジゴーの普及に関して、積極的な店舗が多い」という。
このようにイオンリテールでは、DX、CX向上に向けたデジタル化が進むなかで、「レジレス決済」という切り口で大きな成功体験を得、拡大フェーズへと進んでいる。その成功のカギは、お客が使って便利であるというCX向上のみならず、店舗のスタッフにとっても利便性が高く、手間がかからないというEX(従業員体験)にまで踏み込んでいるからと言えるかもしれない。
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