EU、米IT大手の調査を予告 自社優遇の慣行など焦点
[ブリュッセル 8日 ロイター] – 欧州連合(EU)欧州委員会は、フェイスブックやアマゾン・ドット・コムなど米IT大手のインターネットの「門番(ゲートキーパー)」としての影響力に関する調査を委託する先の公募を通知した。規制強化につながる可能性がある。
ロイターが閲覧した資料によると、調査の委託額は60万ユーロ(64万9800ドル)で、調査結果次第では、フェイスブックやアマゾンのほか、グーグル、アップルが、自社商品・サービスの優遇につながりかねない事業を分離し、競合他社に自社データの利用を認めるよう迫られる可能性がある。
公募の資料は、小売り事業とマーケットプレース運営の両方を行うアマゾンや、アプリ開発とアプリ配信サービス「アップストア」の両方を手掛けるアップルを引き合いに出し、自社商品を優遇する慣行や、独占的地位にある企業に事業分離を迫る必要性について調査するよう求めている。
欧州委は2月、インターネットの門番の役割を果たすプラットフォーム大手に対する法案を検討していると明らかにしていた。
同資料は「オンラインプラットフォームが垂直統合を通じて差別的な扱いをするのを禁止あるいは制限し、マーケットプレースの運営母体とそこに参加する競合社という2つの役割を明確に分離することが可能」としている。
また、大量のデータを保有しながら規模が小さめの競合社とのデータ共有を拒むIT大手に対しては、規制措置によって、妥当で標準化された非差別的な条件の下でデータ利用を許可するよう求める可能性があるとした。
EUによる調査の委託先公募については独立系情報サービス会社MLexが最初に報じた。
業界団体のコンピューター・通信産業協会(CCIA)の弁護士は、調査の範囲の広さは警戒が必要だと指摘。
欧州委は競争を保護するだけでなく自らが特別扱いする競合企業も守る裁量を得ることになるほか、「このような方法で既存の国際的な競争法の枠組みから一方的に離脱すれば競争条件が不公平になり、欧州で有益なサービスや機能が利用できなくなるリスクが生じる」と指摘した。