[ブリュッセル 20日 ロイター] – 欧州連合(EU)が検討している顔認証技術の一時的な利用禁止を巡り、米アルファベットのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は20日、支持を表明した一方、マイクロソフトのブラッド・スミス社長兼最高法務責任者(CLO)は冷めた見解を示した。
ロイターが閲覧した欧州委員会の提案文書によると、EUは技術の悪用防止の方法確立に時間をかけるため、公共の場での顔認証技術の利用を最大5年間禁止することを検討している。
ピチャイ氏はシンクタンクのブリューゲルが主催する会議で、顔認証技術の一時利用停止について、「政府や規制当局がすぐにでも取り組み、その枠組みを提供することが重要だ」と強調。顔認証技術の利用に関する方向性について政府が決定すべきとの見解を示した。
また人工知能(AI)に規制が必要であることに議論の余地はないものの、規制当局は慎重に進めるべきと指摘。様々な分野に応じて規則を調整する必要があるとし、例として医療機器と自動運転車には別の規則が必要と語った。
さらにAIで問題になり得る事象を明確にすることが重要であるとし、AIは大きな恩恵をもたらすが、AI技術を使った偽動画「ディープフェイク」などマイナス面の影響も大きく懸念されるとした。
一方、マイクロソフトのスミス氏は、顔認証技術の利点について言及。非政府組織(NGO)が行方不明の子供を見つけるために顔認証技術を利用しており、「家族の再会につながるような技術の利用を停止しようなどとは言いたくない」と主張。「合理的な代替案により、肉切り包丁ではなく外科用のメスで対処可能なら、停止すべきではない」と述べた。
また最初に問題を特定し、顔認証技術が監視社会に使われないようにすることが重要であるとし、「技術を改善する方法は1つしかなく、それは技術を使用することだ」とした。