ファッション業界特化の生成AI「Maison AI」が実現する未来とは

吉牟田祐司
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145人の利用で月430時間の知識労働を代替

TOKYO AI Fashion Week
ワールド北青山ビル1Fで開催された OpenFashion社主催「TOKYO AI Fashion Week – 2024 A/W Exhibition」  の様子

 業務をAIで自動化できる時代になれば、ある程度までの業務を、いわゆる「AI従業員」に任せられるようになる。Maison AIを開発する上で、最大の目的とした機能がAIエージェントだったという。

 Maison AIはワールドで全社導入(一部関連会社などを除く)され、子供服のナルミヤ・インターナショナルで試験導入されている。また、導入に向けた企業セミナー、生成AIの活用方法を教えるリーダー研修などが5社以上で開催され、生成AI講座が実施されている服飾大学・専門学校もある。

 ワールドグループで導入効果を測定した実績では、145人の利用でAIが代替した知識労働は月430時間。人に置き換えると3.2人分の働きをした計算になるという(生成された文章を時間に換算して算出)。利用人数が増えれば、効果は比例して大きくなり、「AI従業員」の利用価値はますます高まる。

 Maison AIを全社導入するワールドで、デジタルを中心とする新規事業を手掛けるF3事業部の小堺利幸ディレクターによると「管理部門の経理、法務、採用担当、カスタマーサポート、店舗の管理・開発・運営に携わる社員も含めて、あらゆるセクションで使われている」という。そして、さらにうまく活用するためのアドバイスを求める声が、Open Fashionに数多く寄せられているそうだ。

 生成AIの活用には、望ましい結果の出力をプロンプトで促す「プロンプトエンジニアリング」のスキルが必要だ。ローンチ間もない時期には適切なプロンプトを設定することが難しいという課題があった。だが、それを克服するためにストア機能を追加した。結果、ワールドでは「AIエージェントの設定が、かなり洗練されてきている」(上田社長)という。

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