海外SM にも販売へ!コンテンツも内製化するUSMH のリテールメディア戦略とは
首都圏の食品スーパー(SM)3社を束ねるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/藤田元宏社長:以下、U.S.M.H)は、自社開発のデジタルサイネージの活用を軸に、リテールメディア事業の拡大を進めている。高度なデータ分析と出稿主へのリアルタイム共有、配信コンテンツの内製化、さらには海外への外販など、ダイナミックな動きを見せている。
「ignicaサイネージ」300店舗以上に導入
マルエツ(東京都/本間正治社長)、カスミ(茨城県/山本慎一郎社長)、マックスバリュ関東(東京都/島田諭社長)を傘下に持つU.S.M.Hでは、セルフスキャン・決済サービス「Scan&Go」、ネットスーパーの「オンラインデリバリー」、そしてデジタルサイネージ「ignicaサイネージサービス(以下、ignicaサイネージ)」などからなる自社開発のデジタルサービス「ignica」を展開している。そしてこのignicaブランドは、U.S.M.Hのリテールメディア戦略の中枢ともなっている。
なかでも中心的役割を担うのが、2020年から導入を開始したignicaサイネージだ。店内各所に設置し、自社製品や販促イベントの案内に加え、取引先のメーカーからの出稿を受けた広告コンテンツも配信。ignicaサイネージから得た広告収入は22年度実績で対前年度比110%増、23年度は現時点ですでに同140%増と、倍々ゲームで伸長している。
U.S.M.Hのプログラムマネジャー満行(みつゆき)光史郎氏は、「広告メディアはこれまで、マスメディアからウェブそしてSNSへと、どんどんリアルの売場に近づいてきている。そうした流れの中で、メーカー側も店頭サイネージの価値をポジティブにとらえはじめているようだ」と話す。
実はU.S.M.H には以前、既製のデジタルサイネージを試験導入したものの、コスト面が課題となり断念した経験がある。ただ一方で、デジタルサイネージが持つメディアとしての価値が大きいこともわかった。実際に商品のそばにサイネージを設置すると、なかには未設置店と比較して対象商品の売上が3~4倍に伸びたケースもあったほか、売場から離れた店舗入口付近のサイネージで同じコンテンツを流しても1.3~1.4倍の伸びが示されたという。
その後コロナ禍に入り、感染防止の観点から試食販売や呼び込みなどを自粛したことで、売場で来店客とコミュニケーションをとる機会が大きく減少。そのなかでお客に商品価値をいかに伝えるか──。そこで出された答えが、リテールメディアを自社開発することだった。
自社開発にこだわったのは、
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