ファイザーやノバルティスなど11社、遺伝子療法の自社製造施設に20億ドル
[27日 ロイター] – 製薬大手の米ファイザーやスイスのノバルティスなど11社が、2018年以来、合わせて20億ドルを遺伝子療法関連の自社製造施設の建設に投じている。ロイターの分析で明らかになった。世界で最も高価とされる医薬品の生産管理力を高めるのが狙い。
ノバルティスの担当幹部へのインタビューでは、同社の5億ドル規模の計画が明らかになった。これは提出書類や取材で判明したファイザーの自社施設建設のための6億ドルに次ぐ規模だ。
遺伝子療法は1回の投薬で深刻な疾病を治療する可能性があるため、製薬会社は患者1人当たり100万ドルをゆうに超える価格の正当性を主張する。ただ、この療法は生体の培養など製造が非常に複雑な上、重い副作用のリスクも伴う。
製薬各社によると、自社施設の建設はコスト上昇や外部委託業者への依存に伴う供給遅延に対処するため。製造方法の知財権保護や、製造基準を巡る米食品医薬品局(FDA)のさまざまな懸念にも効果的に対応できるという。
ノバルティス傘下のアベクシスのデービッド・レノン社長は「企業が開発する遺伝子療法の製造過程を扱う委託製造業者の設備規模や能力は非常に限られている。長期的に自社で製造能力を持つことが必要だ」と強調した。
こうした方法はリスクも伴う。ファイザーのグローバル遺伝子療法部門のバイスプレジデント、ボブ・スミス氏は、製薬会社は当局からの承認前に、場合によっては効果を証明するデータが出せる前に、いちかばちかの大規模な設備投資を行うことになると認めた。