リテールメディアが小売の新たな収益源になる理由とリテールメディアの限界とは
月間300億件超のスマートフォン位置情報ビッグデータを蓄積する、日本最大級のリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」を開発・運営を手がけるunerry(東京都)も、早くからリテールメディアを事業として展開してきた企業の1つだ。同社が提供するリテールメディアとはどのようなものなのか。内山英俊社長に聞いた。
国内リテールメディア、4つのプレーヤー
世界的なサードパーティCookie(アクセスしたサイトとは異なるドメインが発行したクッキーのこと、リターゲティング広告などユーザーの関心度の高い広告の配信に利用される)の廃止の流れにより、リアル店舗が独自に保有する「ファーストパーティ・データ」を使った広告配信、いわゆる「リテールメディア」の注目度が高まっている。
リテールメディアの在り方について、「一方向の線だったコミュニケーションを“円”にしていくことが重要だ」とunerryの内山社長は語る。
メーカーや小売に集まる日々のデータは“分断されて”存在している。それらを1つにまとめたうえでメーカーが情報を発信し、購買に寄与することをめざすメディア──。それがunerryの描くリテールメディアだ。
内山氏によれば、国内には現在、大きく4種類のリテールメディアのプレーヤーが存在するという。1つ目がアマゾンや楽天グループ(東京都/三木谷浩史会長兼社長)のようなEC系、あるいはPayPay、三井住友カード、NTTドコモといった決済サービスを手がけるプレーヤーだ。2つ目が、トライアルカンパニー(福岡県/石橋亮太社長:以下、トライアル)やイオンリテール(千葉県/井手武美社長)などの大手小売。3つ目が電通、博報堂、サイバーエージェントといった広告代理店。4つ目がunerryも含めたデジタルプラットフォーマーだ。「日本のリテールメディア市場は、この4者がそれぞれの特徴を出しながら併存していくだろう」と内山氏は予想する。
日本の食品小売市場は、地域に根ざしたローカルな食品スーパーが乱立し、寡占化はそれほど進んでいないという独自の特徴がある。そうした背景もあって、
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