DX担当者必読! 社内のシステム責任者を「動かす」方法
システムは「所有するもの」から「利用するもの」に
2000年代に入ると、ビジネスにおいてインターネットが活用され始めます。先ほどのシステムとは別に、ホームページやECサイトなどが構築されるようになったのです。 やがて2010年代に入り、クラウドシステムの利用を検討する企業が増えてきました。
そうしたなかで、「SaaS(サーズ)」という言葉を耳にしたことのある人もも多いのではないでしょうか。「SaaS」とは「Software as a Service:サービスとしてのソフトウエア」の略で、クラウドで提供される業務クラウドサービスのことを指します。 クラウドとは要するに、ユーザーが専門のソフトウエアを持たなくても使えるサービスです。クラウドを介して企業もソフトウエアを共有することで、システムを自社で保有せずに利用することができるようになりました。 必要なときに必要なぶんだけ使えるため、クラウドに切り替えることでシステムコストが下がり、さまざまな新しい機能が利用可能になります。
クラウドシステムが浸透したことで、これからは「クラウドシステムに自社の業務をどう適用させるか」という発想で汎用システムを利用していく必要があります。 これまでのシステム導入は「所有」を前提としていたため、自社でハードウエアを導入したり、リソースを調達したりする必要があるなど、多大なコストを要しました。一方、これからのシステム導入は「利用」の時代です。 クラウドシステムを活用すれば、コストも開発期間もケタ違いに小さくなります。システムは「自社で所有するもの」から「好きなときに、自由に利用するもの」に変わったと言えます。
従来、システムを構築するときには、情報システム部門が現場に要件をヒアリングしてシステムを開発していましたが、その風景も大きく変わっていくと思われます。これからはシステム構築のやり方も、「開発」から「プロデュース」へと進化を遂げるでしょう。
企業側もクラウドシステムの導入を前提として、「社内の業務をどう変えていくか」という発想に変わります。昔は水を手に入れるために自宅の庭に井戸を掘っていたのが、今は蛇口さえつければ水が出るようになったことと同じような話です。
システム責任者を理解し環境を整える
しかし、多くの企業で今、このクラウドシステムを否定するシステム責任者の存在が問題になってきています。彼らがクラウドを拒否する理由は、慣れ親しんできた従来のシステム開発手法を転換することは、今までの仕事を否定されているように感じるからです。また、現場からの要求が理解できても最初の一歩が踏み出せず、長年付き合いのあるシステム会社からもリスクを提示され、動くに動けないことも大きな理由になっています。
DX担当者はこれらの事情を理解して、システム責任者を説得する必要があります。システム責任者は常に経営者や現場から「時間がかかり過ぎる」「コストが高すぎる」などと言われ続けています。クラウドを活用することによりこれらの問題が解決するメリットを理解してもらうことから始めましょう。メリットをしっかりと理解することにより、新しいアプローチにも挑戦してくれる素地が整います。
そのうえで、経営者や事業責任者に対し、「業務を変えることが前提となる」ことに理解を求め、会社全体でクラウドシステムの導入の環境を整えていきます。経営者や事業責任者も最初は難色を示したとしても、やはり納期・コストのメリットがわかれば、最終的には理解をしてくれることでしょう。
このように、IT視点とは技術そのものを理解することよりも、システム構築の手法や実際に業務に携わっている人々を理解することのほうが大切です。この視点に磨きをかけて、IT戦略を立案し行動していくことで、DXは大きく進みだすことでしょう。
筆者が代表を務める㈱デジタルシフトウェーブでは、無料マガジン「DXマガジン」を運営しています。DXの人材育成を通して企業の変革をめざす、というコンセプトのもと、DX実現のために「本当に役立つ情報」を提供。DXをめざす経営者、担当者に役立つノウハウが満載です。また、定期的に実施しているDX実践セミナーでは、各界の実践者の話を聞くことができます。https://dxmagazine.jp/
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