”丸投げ”は厳禁! デジタル変革の近道は「DX人材」の登用と育成にしかない

鈴木 康弘 ((株)デジタルシフトウェーブ代表取締役社長)
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経営者の”意識の差”がDXの成否を決める

 このような人材登用の失敗の大きな要因は「経営者の意識の差」にあります。日本には世界と比べると、DXという潮流を前に何も対処できずにいる経営者がまだまだ多くいます。

 これは「経営者の意識の差」に起因しています。世界で活躍する経営者の多くは、DXに必要なスキルを持つ“プロ経営者”です。対して日本の経営者は、組織の中で育った人が少なくありません。ITやDXに必要なスキルを苦手にする人も多いでしょう。この違いがデジタル後進国と呼ばれる所以です。その結果、前述したような「間違えた人材登用」をしてしまいがちなのです。

 経営者がDXに取り組む場合、起業経験やIT知識などのスキルを持っていることは有利に働きます。起業経験は会社をゼロから組み直して変革をリードするのに役立ちますし、IT知識はデジタル化の未来や実現方法を具体的に描くうえで役立ちます。

 経営者は今後、「DXに積極的な環境」を構築すべきです。デジタルに囲まれた環境ならばDXに積極的に、アナログ環境が残り続ければDXも消極的になるでしょう。現在のアナログ環境から早急に脱却すべきです。そのためには経営者自身がDXに必要なスキルを習得するか、デジタル資質を持つ人材に経営を任せるかしかありません。

 この判断を早急にできるか。すぐに行動に移せる経営者こそ、会社を成長させられるでしょう。経営者は「他人任せ」を止め、自ら率先垂範で動き、社内の人材に目を向けて、人材育成をしていく必要があります。

「第2の創業」の気概で、自社で自立し自走せよ!

 多くの企業が人材育成の必要性を認識しつつ、短期的な成果を追い求めているのではないでしょうか。実際、私のもとにも「大手コンサル会社に依頼したが、海外事例を模倣した分厚い資料を渡されただけ」「システム会社に相談したら、流行りのシステムが導入されただけ」などの相談が増えています。結果が出る前に費用が枯渇し、DXを諦めるケースも出ています。

 そんなとき私は、「DXは他人任せにしてはいけません。自社で自立し、自走できるように社内人材を育成すべきです」と諭します。もっとも日本に限ると、DXを経験した人材は少ないのが現状です。そこで、変革やITスキルを教えるノウハウがある外部企業のリソースは活用しつつ、社内の人材に”DXの途上”を経験してもらい、DXを自社で継続できるようにすべきです。これがDXを成功させる唯一無二の方法です。
 長期視点で、強い意志を持って取り組むことも重要です。「第二の創業」のつもりで、全社一丸の覚悟で取り組まなければ成功しません。

「DXマガジン ~人を育て、企業を変え、未来をつくる~」のご案内
筆者が代表を務める㈱デジタルシフトウェーブでは、無料マガジン「DXマガジン」を運営しています。DXの人材育成を通して企業の変革をめざす、というコンセプトのもと、DX実現のために「本当に役立つ情報」を提供。DXをめざす経営者、担当者に役立つノウハウが満載です。また、定期的に実施しているDX実践セミナーでは、各界の実践者の話を聞くことができます。https://dxmagazine.jp/

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記事執筆者

鈴木 康弘 / (株)デジタルシフトウェーブ代表取締役社長

1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役就任。2006年セブン&アイHLDGSグループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS執行役員CIO就任。グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。16年同社を退社し、デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会会長も兼任。

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