阪急オアシス、関西フードの”新・高付加価値フォーマット店舗”を徹底調査!
精肉売場は価値訴求に課題
総菜は、壁面に寿司、ベーカリーに加え、エスニックメニューを中心とした「ハイカラDELI」のほか、からあげなどのおかず類が並ぶ。売場中央の平台でも弁当とおかずを展開しており、商品群はグルーピングされているものの、配置は分散していた。これはお客の回遊性を高めるねらいと見られる。また、平台2台を使って店内で急速冷凍した「フローズンDELI」を展開しており、即食ニーズに加え、高付加価値商品の保存ニーズにも応えている。
総菜売場に続く精肉売場は、トップが加工肉で、鶏肉、豚肉、牛肉の順に並べられている。ただ、総菜売場から加工肉コーナーへの連動性が弱く、加工肉売場への立寄りが不十分な印象を受けた。また、ベーシックアイテムが中心である鶏肉からスタートする展開は、初めて来店した客にとって高付加価値の訴求が伝わりにくい。平台でも鶏肉、豚肉、挽肉のベーシックアイテムが中心で、売場構成と店舗コンセプトとのあいだにギャップが感じられた。
鮮魚は対面販売で鮮度感を演出!
鮮魚売場は対面形式を採用し、バックヤードの作業風景を顧客に見せることで、ライブ感と鮮度感を演出している。丸魚のほか、価格を抑えた刺身商品も多く、カット済み・パック済みの即食アイテムが豊富に揃う。丸魚を加工した寿司にはパックに魚種を手書きで記し、鮮度や臨場感を訴求するツールとして購買意欲を高めている。その向かい側にある平台では鮮魚寿司や鮮魚総菜など、素材のよさを生かした商品を揃えていた。


阪急オアシス宝塚南口店は、「高付加価値型」という戦略コンセプトに基づき、青果や総菜では産直や独自性のある品揃えを軸に価値訴求を図っている。鮮魚売場においてもライブ感を生かした演出が奏功し、一定の競争力が感じられた。一方で、精肉売場では基本品を中心とした品揃えが目立ち、阪急オアシス宝塚南口店が掲げる「高付加価値志向」とのあいだには改善余地が見られた。
今後、同社がめざす「価格と価値のバランス」を顧客に伝えるには、売場間の連動や訴求方法をさらに洗練させる必要があるだろう。後編では、阪急オアシス宝塚南口店と対照的な店舗モデルである「価格訴求型(Cタイプ)」店舗の展開状況を分析し、関西フードマーケットが描く店舗改革の全体像を明らかにする。
(店舗概要)
店舗名:阪急オアシス宝塚南口店
所在地:兵庫県宝塚市梅野町1番1号
開店日:2025年4月25日
店舗規模:売場面積949㎡(287坪)
営業時間:平日 午前9時~午後10時、土日祝 午前9時~午後9時
駐車場:提携駐車場 32台、駐輪場 約100台
アクセス :阪急今津線「宝塚南口駅」より徒歩2分





関西フードマーケットの付加価値型新フォーマット「阪急オアシス宝塚南口店」を徹底解説



