阪急オアシス、関西フードの”新・高付加価値フォーマット店舗”を徹底調査!

2025/08/19 05:10
榎本 博之(経営コンサルタント事務所 アズライト代表)

関西フードマーケット(兵庫県)は、「阪急オアシス」「イズミヤ」「関西スーパー」の3ブランドで店舗フォーマット改革を推進中だ。その中核となる「高付加価値型(Aタイプ)」と「価格訴求型(Cタイプ)」のうち、高付加価値型店舗として「阪急オアシス宝塚南口店」(兵庫県宝塚市)を開業。本稿では前編として、生鮮や総菜などの売場展開を詳細にレポートし、「価格と価値のバランス」を重視した同社の商品政策が実際の売場にどのように反映されているかを検証する。
調査日:2025年6月23日

高付加価値フォーマットとしてオープンした「阪急オアシス宝塚南口店」

「宝塚南口」駅近くに高付加価値型店舗を出店

 関西フードマーケットは、「阪急オアシス」「イズミヤ」「関西スーパー」の3ブランドの食品スーパーを展開し、一体的な運営を図りながら、店舗フォーマットの改革を推進中だ。「高付加価値型(Aタイプ)」と「価格訴求型(Cタイプ)」の2つのフォーマットでの改装・出店を進める方針を掲げている。

 こうしたなか、同社は4月23日に「関西スーパー市岡店」(大阪府大阪市)をリニューアルし、価格訴求型の「関西スーパー デイリーマート市岡店」としてオープンした。今後、価格訴求型店舗は「デイリーマート」の名称で展開していく。

 また、4月25日には高付加価値型の「阪急オアシス宝塚南口店」を開業。さらに、阪急オアシス宝塚南口店からほど近い「宝塚南口」駅前にあった旧「阪急オアシス宝塚南口駅前店」は、5月10日に「デイリーカナート宝塚南口駅前店」へブランドスイッチを行った。関西フードマーケットがめざす「価格と価値のバランス」を重視した商品政策の強化について、3つの店舗の売場づくりを通して検証していく。

 まずは、高付加価値型フォーマットとなる阪急オアシス宝塚南口店を見ていく。同店は阪急電鉄今津線「宝塚南口」駅から徒歩2分の場所、旧宝塚ホテル跡地に建設されたタワーマンション1階部分にある。店舗から240mの至近には関西地盤の高質食品スーパー「いかり宝塚店」が店を構える。

 阪急オアシス宝塚南口店の売場面積は947.1㎡(287坪)。青果と総菜をつなげたレイアウトで、あいだにドレッシングや調味料のコーナーを挟み、壁面に沿って精肉、鮮魚、日配へと展開している。マグネットエリアでは高付加価値商品の提案を行い、競合他店との差別化を図っている。

 青果売場では、入口付近に産直コーナーを設置。隣接して有機農産物を扱う「坂ノ途中」を初めて導入し、「産直+α」の要素を提供している。かつて阪急オアシスで注力していたインストア加工のサラダやフルーツは取り扱いを絞り込み、アウトパック商品と併用するかたちに転換。オペレーション効率を高めていた。

 果物はグレードの高い商品を中心とし、トマトやサツマイモは複数品種を取り揃え、商品政策(MD)の深掘りによる価値訴求を強化している。また、販売期間の長い加工品との関連販売を増やすことで、売場オペレーションの効率化も図っている。

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