マミーマートは2022年9月、ディスカウント型の新フォーマット「マミープラス」の2号店となる、「マミープラス下戸田店」(埼玉県戸田市)をオープンした。マミープラスはディスカウントフォーマットの位置づけであるものの、「美味しさをプラス」「満足をプラス」「家計にプラス」をコンセプトに、安さだけではない、価値の追求に力を入れる。前編では、生鮮食品と総菜売場を解説した。後編では、日配・加工食品・菓子・酒類の売場を見ていこう。
調査日=1月10、12日 ※本文中の価格はすべて本体価格
●日配
売れ筋をベースに、PBで巧みに価格訴求
日配は、入口から見て右側壁面で「チルド飲料」「ヨーグルト」「果汁飲料」「豆乳」など、レジサイド手前側壁面で「甘酒」「カップ飲料」「スイーツ」と、合計約150尺のスペースで売場を展開する。プレーンヨーグルトは12尺5段28品目で、「明治」「森永乳業」「雪印メグミルク」を軸に107~128円の価格帯で提供。プライベートブランドの「ヨーグルト400g」(98円)が価格訴求品の位置づけで、「湯田ヨーグルト」「岩泉」などこだわり商品の扱いもある。そのほか、「カップ飲料」「ゼリー」「プリン」「スイーツ」も豊富な品揃えで、それぞれ価格訴求がなされていた。
和日配は店舗右側サイドの主通路沿いに「卵」「揚げ」「豆腐」、その背面に「佃煮」「豆」「総菜」、加工肉の背面に「納豆」「練物」「水物」「麺」「漬物」を配置する。「豆腐」は「相模屋」が軸となっており、「納豆」は「タカノフーズ・極小粒ミニ50g×3」(58円)のほか、PBの「北海道小粒納豆40g×3」(78円)などを揃える。全体的に売れ筋をベースとしながら価格訴求品を絡めた商品構成となっており、「安さ」が巧妙に演出されていた。
●冷凍食品・アイスクリーム
地域一番の安さをめざす?
冷凍食品・アイスクリームはレジ側から見て前方に30尺5レーン、後方に40尺4レーンと、広くスペースをとっている。
冷凍食品は、前方で「家庭用商品」、後方で「大袋」「業務用」を配置する。後方では売れ筋の「味の素冷凍食品・ギョーザ12個入り」(159円)、「イートアンドフーズ・大阪王将羽根つき餃子12個入り」(159円)のほか、「CGC・餃子12個入り」(139円)に「マルマツ・浜松餃子30個」(582円)など「業務用」「韓国産」「輸入品」「大阪王将」「バーミヤン」など扱いは19品目と多い。
注目はスイーツで約30尺に「米屋・生どらやき小倉4個」(399円)、日東ベスト「ホールタルト ベイクドチーズ」(999円)、フランス直輸入の「アルカンアップルタルトレット」(799円)など約40品目。
アイスクリームは前方3レーンで売場を展開しており、マルチタイプでは「井村屋・ BOXあずきバー6本」(193円)、「赤城乳業・ガリガリ君ソーダ7本」(175円)など、個食タイプは78円の商品を充実させていた。後方では、「ハーゲンダッツジャパン・ミニカップ」(194円)、「ハーゲンダッツジャパン・アソートボックス」(599円)のほか、「ベイクドアルル・5種のナッツ贅沢キャラメルコーン」(499円)、「セリアロイル・ハワイアンホーストマカデミアナッツチョコレートアイス」(499円)など、プレミアムアイスを豊富に揃えていた。
●加工食品
売れ筋の価格訴求が徹底、「まとい買い」を促す提案も!
加工食品は後方21レーンで「乾物」「調味料」「米」「缶詰」「即席麺」「嗜好飲料」「嗜好食品」「飲料」の並びで、飲料は7レーン290尺ととくにスペースを割いている。飲料はケース売りを基本としており、コンテナ陳列でCGC商品の「緑茶2ℓ」「麦茶2ℓ」「烏龍茶2ℓ」を1本83円、6本494円で販売する。水の2ℓボトルは「LDC・自然の恵 天然水」(6本299円)、「サントリー・南アルプスの天然水」(6本528円)で提供する。
即席麺は、「カップ麺」が39尺2レーン127品目の扱いと多く、「乾麺」は9尺、「袋麺」は15尺で売場を展開。カップ麺では「日清食品・カップヌードル」(138円)、「東洋水産・緑のたぬき」(105円)、「まるか食品・ペヤングソース焼そば」(109円)など、袋麺では「サンヨー食品・サッポロ一番味噌5袋」(355円)など売れ筋の価格訴求に余念がない。
調味料は6レーンでオーソドックスな商品構成となっており、ナショナルブランドを軸に、PBとCGC商品を差し込んでいる。ここでも売れ筋の価格訴求が目を引き、「キユーピー・マヨネーズ450g」(222円)、「にんべん・つゆの素1ℓ」(297円)、「Mizkan・味ぽん600mℓ」(219円)などを販売する。ゴンドラエンドや定番売場では、CGC商品のカップ麺を1個88円、4個299円で提供するほか、「ふりかけ」「レトルトカレー」「パスタソース」「ミニカップ即席麺」などで「まとめ買いコーナー」をそれぞれ展開していたのも印象的だった。
●酒類
重点部門? 「質感」を重視した豊富な品揃え
マミーマートでは酒類を重点部門と位置づけているのか、どの店舗でもスペースを割いており、取り扱い商品も幅を広い。マミープラス下戸田店では、前方11レーン330尺で売場を展開しており、レーンごとにカテゴリーが分かれているため、買いやすい売場となっている。
レジ側から見て右サイド3レーンはビール系飲料で、ゴンドラ下段はケース売り、上段は6缶パックとなっている。「アサヒビール・スーパードライ350mℓ」は1缶195円、6缶1029円、「サントリー・金麦350mℓ」は1缶128円、6缶679円で提供する
ワインは5段のゴンドラ12尺で、「稲葉」「リラックス」「マルカイ」などワイン輸入商社の43品を商品説明POP を添えて499円~1498円で提供する。最上段では専用ボックスでプレミアムワイン10本も販売する。
焼酎乙類は1升瓶56品目を揃え、専用ボックスで「森伊蔵」「佐藤」などプレミアム焼酎も揃える。日本酒も1升瓶を豊富に揃え、「久保田」「白海山」「一ノ蔵」「剣菱」など銘酒23品目を販売。質感が重視したこだわりのラインナップとなっている。
●菓子
超特価商品が目白押し
菓子は前方6レーンのほかレジ背面で売場を展開。商品構成はオーソドックスで、取り扱い商品は売れ筋中心となっている。ゴンドラエンドでは、同じく埼玉県を地盤とするベルクの催事売場を想起させる、コンテナ陳列としており、チラシ商品をメインに並べている。大袋菓子は18尺7段65品目の扱いで、「不二家・カントリーマアム19枚」(198円)、「ネスレ・キットカット13枚」(194円)、「明治・チョコレート効果カカオ72%45枚」(498円)と価格も安い。キッズコーナーも充実している。
●まとめ
埼玉にマミーマートあり!
昨年から続く食品の異常な値上げラッシュは、ディスカウントスタイルの店には間違いなく追い風となっている。1円でも安い商品を求める消費者の支持を集め、今後もディスカウントフォーマットは成長していくとみられる。
筆者はこれまでも多くのディスカウントストアをみてきたが、マミープラスのようなディスカウントスタイルの店が成功する秘訣は、「生鮮の質を落とさない」ことにあるように思う。
ディスカウントスタイルが正しく機能するには、客数の絶対数が前提となり、“絶対売上主義”が維持できるかどうかが基本となる。お客を引きつけ、つなぎ留める仕掛けは、なんといっても「商品」であり、1品1品でそれぞれ真剣勝負をしなければならない。
その中でもとくに重視されるのが、生鮮の鮮度と質感であり、マミープラスでは各生鮮部門が高いレベルを保っており、お客も不安なく買物を楽しんでいる様子だった。マミーマートの“生鮮力”の底力を感じさせる売場であるように感じた。「ヤオコー」「ベルク」を筆頭に、埼玉県は有力チェーンが地盤とする激戦区。名だたるチェーンと戦いながら、地元にしっかりと根を張り、独自のスタイルを構築したこの店舗は、県内の競合にマミーマートの存在感を強く示したことだろう。
(店舗概要)
店名 マミープラス下戸田店
所在地 埼玉県戸田市下戸田2-31-4
改装開店 2022年9月17日
売場面積 約630坪(歩測)
営業時間 9:00~22:00
駐車台数 125台