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強さも課題も顕在化!オークワ跡地に出店した「ロピア三田対中店」の売場づくりを解説!

ロピア(神奈川県)が兵庫県5店舗目となる「ロピア三田対中店」(兵庫県三田市:以下、三田対中店)を2022年9月3日にオープンした。2022年5月の中部進出に続き、直近では、かねて噂されていた台湾への出店が正式に発表されるなど、2022年も話題に事欠かなったロピア。「三田対中店」ではどのような売場づくりをしていたのだろうか。現地に足を運んだ。
調査日:2022年11月5~7日※本文中の価格はすべて本体価格

ロピア三田対中店の外観

オークワ跡地に居抜き出店!

 ロピアにとって、三田市2店舗目となる三田対中店。兵庫県の南東部に位置する三田市は、大阪・神戸の衛星都市として発展してきた経緯があり、約10万8000人の人口を抱える(2022年11月末時点)。

 店舗は神戸電鉄三田線「三田本町」駅から直線距離で約500mの場所にあり、周辺は田園風景も残る住宅街が広がる。約5km離れた場所には、2022年3月に開店した「兵庫三田店」がある。

 三田対中店は、2022年3月に閉店した「オークワ三田店」の跡地に出店している。同じ建物内には、100円ショップの「ダイソー」が入り、隣にはホームセンターの「コーナン」もある。

 一般的に、居抜き店舗は“当たり外れ”が大きく、出店する際は慎重に検討する必要がある。だが、これまでもロピアはピークを過ぎた商業施設に出店してきた経緯があり、居抜き店舗を再生するノウハウを持っているのだろう。直近の関西・中部エリアの出店は、居抜き出店を基本としている。

人手不足が最大の課題?

 売場を見ていこう。売場面積はロピアのほぼ標準となる約550坪(歩測)。おなじみの「生鮮一体ゾーン」は約170坪(歩測)で、売場スペース構成比は33%と、近隣の「兵庫三田店」(25%)より高く、生鮮を重視する姿勢が窺える。日配のスペース構成比は21%で、生鮮との合計では54%と、商品構成は一般的なスーパーマーケットとほぼ同じと見ていいだろう。

 売場を歩いていて気になったのは、スタッフを募集するメッセージだ。鮮魚売場では、「写真を撮るのならロピアで働いてみませんか」と、価格調査に訪れる同業者に向けたメッセージを掲示していた。調査期間中、売場を観察していてもスタッフの姿をあまり見かけることはなく、商品の補充もあまり行われていないようだった。「人手不足」こそ、ロピアの最大の課題であるのかもしれない。

●青果
「買いやすさ」重視のオーソドックな売場

 ここからは主要部門の売場を見ていく。

 導入部では青果売場は展開。ロピアの青果売場は、通路幅をあえて狭くした“一方通行”の売場であるケースが多いが、三田対中店では平台を使用した一般的なスーパーマーケットのスタイルとしている。

 入口から店内に入ると、冷蔵ケースに大量に並べられたキャベツ(1玉150円)が目に飛び込んでくる。その隣には、レタス(1玉150円)、白菜(2分の1カット190円)と売れ筋の葉物を並べる。

 横幅約30尺の最前面の平場では、みかんや柿、梨、リンゴといった旬果実を販売。2列目の平場も約30尺で、トマトやキュウリ、ほうれん草などを並べていた。3列目は約20尺のスペースで、玉ねぎやジャガイモ、ニンジンといった土物野菜を陳列するなど、お客にとって買いやすい配置となっている。

 関西の青果売場は、氷を敷きしめた冷蔵ケースを設置したり、京野菜コーナーを設けたりなど、個性的な売場が多かったが、この店舗は堅実な商品政策をとしているようだ。

ロピア三田対中店の売場レイアウト

●鮮魚
刺身・対面寿司の扱いはなし、代わりに珍味が充実!

 関西地区の鮮魚売場は、刺身コーナーや対面のバラ売り寿司、同じく対面の丸物コーナーなど、関東とは異なるMDを導入しているが、三田対中店ではそれらの扱いはなかった。

 丸物はパック入りで、「真鯛」「ガシラ」「タモリ」など明石港直送の商品のほか、長崎県産の「真あじ」(1尾350円、2尾590円)などを扱う。寿司・丼物コーナーでは「魚萬握り寿司茜」(18貫2390円)、「海鮮たっぷりちらし」(990円)、「海鮮丼」(990円)など各種寿司・海鮮丼を豊富に揃える。

 壁面では、8尺フード付き什器を設置し、「中華くらげ」(200円)、「いかウニ味」(480円)、「貝柱昆布」(330円)など各種珍味21品目を販売する。これまでにはなかった新たな仕掛けであるとみられる。

●精肉
現場の作業負担を減らすセンター商品

 精肉売も標準スタイルで、約55坪(歩測)のスペースで売場を展開する。

 売場では、入口から見て左側壁面30尺が牛肉コーナー、その対面の36尺では加工肉、奥側壁面45尺が牛肉・豚肉・ひき肉などを配置するほか、幅19尺平台を3列配置する。

 牛肉は「ブロック」「ステーキ」「焼肉」「スライス」と用途別に商品を陳列する。調査日は黒毛和牛の「肩ローススライスすき焼き用」(100g399円)、「モモブロック」(100g398円)、「モモステーキ用」(100g498円)などを目玉として提供。豚肉はセンター納品が中心で、スペイン産の「豚バラしゅぶしゃぶ用」(100g99円)などを価格訴求していた。鶏肉もセンター納品が中心で、現場の作業量を減らしているようだ。

 精肉売場にはお客が多く、買物カゴを見ると、購入品目も多いようだ。全体のお客の動きを見ても、精肉が売場の“核”であることがよくわかる。

●まとめ
生鮮食品売場は利益重視?

 ロピアの利益の源泉はなんといっても生鮮食品であり、入口から続く“生鮮ゾーン”の売場づくりが店の業績を左右すると言っていい。

 三田対中店の売場を見ると、「販売額」でなく「利益」を取るための仕掛けがなされていることがわかる。青果は目玉商品を連発するのではなく、相場に基づいた価格設定としており、鮮魚は人手のかかる対面販売をせず、定番商品を中心としたオーソドックスな商品構成となっている。精肉は豚肉と鶏肉をセンター納品とすることで店内の作業量が削減させ、牛肉の加工に店内のリソースを集中させている。

 これまで派手な商品政策を導入してきただけに、こうした利益重視の政策はお客はどう受け止めるのかが気になるところだが、調査期間中の客入りから考えると、お客もこうした売場づくりを受け入れている様子だった。後編では、総菜・日配・加工食品の売場を見ていきたい。

(店舗概要)
開店日 2022年9月23日
所在地 兵庫県三田市対中町19-12
売場面積 約550坪(歩測)
営業時間 10;00~20:00
駐車台数 389台