鳥貴族の救世主?トリキバーガー大井町店オープン!「ハンバーガー」業態に進出する理由と3つの差別化戦略とは
第2の柱チキンバーガー
現在鳥貴族は、直営383店、TCC(鳥貴族カムレードチェーン:フランチャイズ)232店、計615店(2021年7月末現在)の焼鳥居酒屋を全国に展開している。創業は1986年、成熟した居酒屋ビジネスの中で新規参入組として業績を伸ばしてきた。競合である「養老の滝」「村さ来」などの総合居酒屋チェーンに対し、鳥貴族は焼鳥専門かつ298円(税抜)均一で差別化を図っている。
しかし創業より右肩上がりで伸びてきた業績も、新型コロナ禍に伴う外出自粛・アルコール提供抑制などにより苦境に陥った。2020年7月の売上高は275億円で、前年358億円を大きく割り込んだ。2021年7月期は業績予想を未定としているが、同社の月次ベースの既存店売上高対前年同月比は、2021年7月までの12か月中、4月を除く11か月は前年を下回っている状況だ。そもそも、コロナ禍がなくとも「鳥貴族」業態のビジネスは頭打ち傾向にある。コロナ前の2019年7月期からすでに既存店売上高は前年同月比実績を割り込み、店舗数もピークの679店舗(直営433・TCC426)から減り続けている。
主力業態が伸び悩む中、鳥貴族HDが第2の柱に育てようとしているのがチキンバーガー専門店だ。3月公表の中期経営計画ではトリキバーガーの事業展開を打ち出した。鳥貴族事業の成長性回復(既存店売上アップ・店舗開拓再開)や生産性向上と同時に、「コロナ禍でも通用する新業態」を育て、10年後には「鳥貴族のDNA(チキン・国産・均一価格)を活かした業態の国内外展開により世の中を明るくしていくグローバルフードカンパニー」をめざすとするのが同グループの長期ビジョンだ。