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イオン都市型フォーマットのモデルとなるか!? イオンスタイル有明ガーデンの売場を徹底分析

6月17日、「住友不動産ショッピングシティ 有明ガーデン」(東京都江東区)がグランドオープンした。各種専門店のほか、高層マンション3棟約1500戸、劇場、ホテル、温泉施設などで構成される大型ショッピングセンター(SC)で、イオンリテール(千葉県)が運営する「イオンスタイル有明ガーデン」(以下、有明ガーデン店)が中核テナントとして入る。店舗周辺はタワーマンションが建ち並ぶ、都内屈指の人口増加エリア。都心立地でイオンリテールはどのような売場づくりに挑戦しているのだろうか。(調査日7月10日、19日)※本文中の価格はすべて本体価格

「イオンスタイル有明ガーデン」が入る「住友不動産ショッピングシティ 有明ガーデン」

コロナ禍でオープンが延期

 住友不動産は6月17日、東京都江東区に、「住友不動産ショッピングシティ 有明ガーデン」をオープンした。当社、4月24日にオープン予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開業が延期していた同施設。2カ月近く遅れてのグランドオープンとなったものの、近隣住民の生活を勘案し、食品売場を担う有明ガーデン店は5月15日に先行オープンしている。

 同SCは新交通ゆりかもめ「有明」駅、東京臨海高速鉄道りんかい線「国際展示場」駅から直線距離で400mほど離れた場所にある。有明ガーデン店は、SC1階部分に入居する。

 東京都における「イオン」「イオンスタイル」屋号の店舗数は16店、23区内は11店とほかの道府県と比べると少ない。イオン(千葉県)グループとしては系列の「ダイエー」「まいばすけっと」「ピーコック」などを東京都で展開しているが、中核のイオンリテールとしては、現状の店舗展開にはもどかしいところがあるのではないだろうか。

都市型店舗のモデルとなるか!?

 イオンではかねて、「ファミリー・単身」「人口増加エリア」を都市型店舗のキーワードに掲げ、「イオンスタイル」屋号の出店に力を入れている。この有明ガーデン店はまさにこのキーワードにマッチした店舗であり、食品に特化した新たなフォーマットづくりに挑戦している様子が窺える。

 直近では、セブン&アイ・ホールディングス(東京都)も「首都圏食品戦略」をぶち上げ、首都圏での食品スーパーに注力する戦略に舵を切った。イオングループとしても、この店舗をモデルとし、首都圏における食品スーパーフォーマットの展開を強化したいという思惑があるのかもしれない。小売の両雄が都市型スーパー強化となれば、競争激化は避けられない。

セルフスキャン導入で接触回避!

 売場を見ていこう。有明ガーデン店の売場面積は約2285㎡。駐車場に続く入口付近に総菜売場、2階フロアを結ぶエスカレーター付近に青果、ベーカリーを配置。エスカレーター側から見て左サイドに、肉料理専門店「ガブリンググリル」、選べるおかずメニューを提供する「リワードキッチン」、寿司や海鮮丼を揃える「魚魚彩」と、個性的な直営専門店を導入している。右側の壁面は大型酒類売場の「「イオンリカー」を展開する。

 平場は左側から順に、和日配、日用品、加工食品、菓子、飲料、アイスクリーム、冷凍食品、チルド飲料を配置。ベーカリー売場は直営で、イートインに連動させるかたちで展開している。

 レジはセミセルフレジで、レジ8台に精算機17台を配置する。特徴的なのは、専用スマートフォンを使って、セルフスキャンで精算する「レジゴー」を導入している点。東京都内の店舗でレジゴーを導入するのは初となる。

レジゴーを利用中の画面。スキャン精度はかなり良いと感じた

 開店時は、専任の担当者を配置し、端末の使い方をお客に説明していたが、約2カ月経過すると、お客の多くはとくに説明もなく、レジゴーを利用していた。家族連れのお客が、子供にスキャンを任せている様子を見かけるなど、かなりお客に浸透している印象だ。昨今のコロナ禍もあって、レジでの接触がなく買物ができるレジゴーは、確実に稼働率が上がっていると思われる。

青果売場ではオーガニック野菜に注力

 ここからは部門ごとに売場を見ていこう。

 約40坪(歩測)で展開する青果売場は、平台の高さを抑えることで商品を手に取りやすいようにしているようだ。全体的に品揃えは絞り込まれており、ゆったりとした印象の売場となっている。

 入口からみて右側の常温果実コーナーで「メロン」「マンゴー」「オレンジ」などの高級果実・輸入果実を販売。調査日は「北海道フェア」を開催中で、「夕張メロン」(2000円)、「赤肉メロン2Lサイズ」(1580円)などを並べていた。野菜では、トマトに力を入れており、「トマトマルシェ」と銘打ち、こだわり商品を含めた11SKUを提供する。売れ筋のレタスは1玉98円、ほうれん草は1束198円、キャベツは1玉148円で提供、「豊洲市場直送」商品であることを強くアピールしていた。

青果売場で販売していたトマト「アンジェレ」

 右サイドの冷蔵ケースでは、「キュウリ」(3本198円)、「トマト」(3個398円)などオーガニック野菜約30品目を扱う。日替わりの価格訴求を行うなどオーガニックの取り組みは他のチェーンより積極的といえる。全体に「量感」より「質感」が重視されており、売場も丁寧に管理されているように感じた。

トップバリュ商品を差し込んだ鮮魚

 鮮魚売場は、壁面36尺と平台の冷蔵什器2台で展開する。

 壁面では丸物や刺身コーナーを展開しており、8尺の丸物コーナーでは「金目鯛1尾」(1尾1980円)、「ほうぼう」(1尾798円)、「真あじ」(1尾358円)などを販売。刺身コーナーでは「4点盛り」(698円)、「お刺身盛合わせ」(1780円)などを販売。サクも充実させており、調査日は「本まぐろ(養殖・解凍)中とろ平盛り」(1パック980円)をチラシ販促商品として売り込んでいた。

イオングループが近年力を入れる、「ASC認証」を取得した商品も販売

 また、調査時は「土用の丑の日」が近かったこともあって、「国産うなぎ蒲焼(一尾標準140g)」(1980円)をはじめ、うなぎの売り込みに力を入れていた。そのほかにも中国産やプライベートブランド「トップバリュ」のインドネシア産など、多様な産地の鮮魚・水産加工品を品揃えする。

精肉はセンター納品と店内加工をミックス

 入口から見て店舗奥側の壁面で展開するのが精肉売場。牛肉コーナーを26尺、豚肉・鶏肉・挽肉コーナーを42尺で展開するほか、平台什器2台を使い、加工肉・催事コーナーとしている。

 品揃えはセンター加工商品をべースとしており、国産牛肉は北海道産の4等級以上「匠和牛」、輸入牛は豪州「タスマニアビーフ」をメーン商品としている。店内加工商品としては、茨城県産の「常陸牛」「ももステーキ」(100g 1080円)、「もも焼肉用」(100g 980円)を扱う。

 調査日は北海道フェアを実施しており。北海道産黒毛和牛の「かたローススライス100g」(100g 798円)、「切り落とし」(100g 398円)、「もも焼肉用」(100g 598円)で提供。豚肉では、国産は東京産「TOKYO X」や新潟産「ナチュラルポーク」を、輸入は米国産のほか、スペイン産の「イベリコ豚」も扱う。鶏肉は「名古屋コーチン」など一部こだわり商品の扱いもあるが、主力は青森産としているようだ。そのほかでは、ローストビーフに力を入れており、トップバリュ商品をベースに多彩なラインアップを提供していた。

 後編では、注目の総菜売場のほか、日配・加工食品・菓子・酒類の売場を見ていこう。


開店日  2020年5月15日
所在地 東京都江東区有明2-1-8(住友不動産ショッピングシティ有明ガーデン1階)
アクセス ゆりかもめ「有明」駅徒歩2分、東京臨海高速鉄道臨海線「国際展示場駅」徒歩4分
店舗面積 約2285㎡
店舗構造 鉄骨5階建て
営業時間 8:00~23:00
駐車台数 約1900台、駐輪台数約1700台