繁盛する食品スーパー(SM)の戦略~フレッシュグッズの仕入・価格戦略
大手食品スーパー(SM)のチラシを徹底調査した価格設定
取材したビアレヨコハマの並木店は平日の日中でも結構な来店者数だった。青果の価格をみると、一般的なSMに比べ、1~2割安い。
藏重社長は「(安いからといって)安かろう、悪かろうではいけない。品質にもこだわる」と話す。野菜や果物は市場で仕入れたての鮮度のよいものを揃えている。
ビアレヨコハマは通路でつながるかたちで隣には「イオン金沢シーサイド店」がある。最大の競合店で、藏重社長は「イオンの青果物の価格には負けないようにしている」と言う。
同社は並木店以外の店舗でも大手SMなど「競合店の価格を徹底的に調査し、値付けしている」と地域に密着した価格調査体制で、勝ち残りを図っている。ただ、青果を低価格販売しても「しっかり青果で利益を出している」と付け加える。
バイイングパワーではイオンを始め、大手チェーンのほうが圧倒的に有利と思われるが、わずか5店舗のフレッシュグッズにどんな秘策があるだろうか。藏重社長は「仕入れと価格対応の柔軟性」がいちばんの武器であると強調する。同社では大田、川崎、川崎南部、世田谷の4つの市場から青果を仕入れている。
一般的に大手チェーンは本部の意向が働き、地域単位での仕入れとなる。チラシの目玉商品も、数日前からあらかじめ決めた商品のままで広告を打っている。つまりチラシを配布している以上、価格は動かせない。
そこが同社のねらいめだ。大手の目玉商品などの下をくぐる価格設定で勝負をかけるのである。
SMによっては同社が出した価格よりもさらに下回る価格を設定してくる好戦的なところもあるというが、大手は価格設定に制限が多い。目玉商品以外でも、そうした競合の特性をふまえた価格にすれば、節約志向を強める消費者から支持されるというわけだ。