精肉1人当たり購入金額は減少傾向、簡便性や付加価値の訴求が活発化
精肉を含む食品価格の値上げ基調が続くなかで、消費者の家計防衛への意識は高まっており、精肉も全般的に買い控え傾向が見られる。そのため、節約意識が強いなかでも、買上金額自体は増加傾向にある。
リサーチ・アンド・イノベーションが提供している買物アプリ「CODE」から取得した購買データより、精肉の1人当たり購入金額の変動を探ってみた。
「牛肉」「豚肉」は購入額減少「鶏肉」は落ち着きを取り戻す
リサーチ・アンド・イノベーションの「買いログ 生鮮・惣菜データ」は、レシートがお金に変わるアプリ「CODE(コード)」で収集している購買データ(買いログ)を基に、「生鮮・惣菜」などの購買データを提供するものだ。
【図表】は、このデータを基に、2023年4月から25年3月までの「牛肉」「豚肉」「鶏肉」について、「1人当たり購入金額の前年比」をグラフ化したもの。これを見ると、24年は「牛肉」「豚肉」「鶏肉」ともに、1人当たり購入金額が減少傾向にあることがはっきりと現れている。精肉価格の高止まりが、買い控えにつながっていることが明らかだ。
とくに「牛肉」は、24年7月に93%と前年を下回って以降、前年割れが25年3月まで継続している。一方、「豚肉」や「鶏肉」は24年11月に前年と同レベルに回復した月が見られるなど、比較的落ち着きを取り戻していることがうかがえる。
食品以外のあらゆる商品が値上がりする傾向が続くなかで、家計を取り巻く環境は厳しさを増しており、精肉の買い控えは今後も続く可能性が高い。
味付け肉や冷凍肉など
利便性を軸に店頭販促を強化
店頭でも、単純な価格訴求が難しくなっており、さまざまな付加価値を前面に打ち出した販促が試みられている。
以前からニーズが高かった味付け肉やミールキットなどの簡便性の高い商品や、ストックに便利でまとめ買いで買い得感が出やすい冷凍肉の訴求といった取り組みが活発化している。
一方で、地場ブランド肉の展開や肥育方法や飼料にこだわった精肉の訴求など、安全性や品質を掲げる価値訴求も行われている。
また、チェーンによっては試食販売や、精肉と調味料を詰め合わせた「お楽しみ袋」などの店頭プロモーションも積極的に行われている。価格を重視する消費傾向が強まるなかでも、こうした努力によって、購入につながる魅力を打ち出す取り組みが求められることになりそうだ。
精肉の売場提案
価格が高止まりしている精肉売場。店舗では価格訴求が難しい現状を踏まえて、品質や希少性、簡便性など、さまざまな付加価値を訴求する商品提案が活発だ。
最近オープンした新店の精肉売場から事例を紹介する。








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