「串カツ田中」がとんかつの新業態「厚とん」で打つ次の一手

文・構成:崔 順踊(リテールライター)
取材:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

「串カツ田中」を全国に約330店舗展開する串カツ田中ホールディングス(東京都/坂本壽男社長CEO)は今年328日、新業態「厚切りとんかつ 厚とん」の1号店を東京・五反田にオープンした。「串カツ」を事業の核としてきた同社が、このタイミングでとんかつ市場に本格参入するねらいとは。新業態を率いる取締役の織田辰矢氏に、立ち上げの背景や今後の戦略を聞いた。

”串カツ一本足打法”からの脱却を図る理由

 串カツ田中ホールディングスはこれまで、社名にも掲げている串カツ田中を柱に成長を遂げてきた。しかし、昨今の外食需要の変化や、若者のアルコール離れといった社会的背景を受け、同社では新たな収益源の確立をめざしていた。

 そうした中で新たに打ち出したのが「とんかつ」業態である。その理由について、取締役の織田辰矢氏は次のように説明する。「以前は関西を中心とする一部の地域で親しまれていた串カツを全国区に広めたのは、われわれだという自負がある。とんかつも一定の市場規模を持つ“国民食”であり、われわれが強みとしてきた揚げ物のノウハウを生かせる分野だ。すでに広く浸透している料理だからこそ、『揚げること』を追求してきたわれわれが参入することで新しい価値を付加し、市場のシェアを獲得できると考えている」。

 同社は、培った揚げ物の技術をベースに「厚とん」事業を展開し、将来的には串カツ田中に匹敵する規模のビジネスへと育てていく構えだ。

五反田の1号店は外国人客の来店が想定以上に

 1号店「厚とん 五反田店」(東京都:以下、五反田店)は、JR山手線「五反田」駅から徒歩4分の立地にあり、18坪程度の広さで20席を備える。以前、営業していた「串カツ田中 東五反田店」をリニューアルした。主なターゲットは40代前後のビジネスパーソン、とくに男性会社員が中心になると見込んでいたが、実際には海外からの来店客が予想以上に多いという。

 「品川エリアのホテルから歩いて来店される方も多く、寿司・ラーメンに次ぐ日本食として“とんかつ”への注目の高まりを感じる。現在は、来店客の1割以上が海外からのお客さまだ」と織田氏は話す。

 五反田店でとくに人気を集めているのが、「庄内豚の厚切りロースカツ定食(250g)」(税込2970円)だ。柔らかくジューシーな食感が好評で、売上高構成比は約4割に上っている。

人気商品の「庄内豚の厚切りロースカツ定食(250g)」(税込2970円)

 

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取材

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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